2019年04月21日更新
ある日、先輩が私に書類を渡してこう言いました。
「確認して。」
初めて依頼された仕事で、「確認して」としか言われなかったので大いに戸惑いました。
「何を確認すればいいですか?」
「うーん、全部。」
先輩はそう言って、自分の机へと戻っていきました。
全部?
頭の中が、はてなで埋め尽くされました。
「確認して」とだけ言われても、確認事項はいくつもあります。
- データの抽出に漏れがないか
- データベースと書類に記載されたデータに齟齬はないか
- 誤字・脱字はないか
- 英訳は合っているか
- 記載内容に矛盾はないか など
私は先輩のところへ行って、もう一度聞きました。
「すみません。確認事項っていくつかあると思うんですが、具体的に何を確認すればいいですか?」
「うーん、そう言われてもなあ。」
先輩は何が聞きたいの?という顔をしていました。
私は、とりあえず自分の机に戻って、確認すべきであろう項目をいくつか挙げてみた。
それをもって、改めて先輩に質問しました。
「確認事項って、こんな感じでいいですか?」
先輩からは、「うーん」と歯切れが悪い返事しか返ってきません。
依頼した人自身が、その仕事の目的を理解していない。
この事例で何が問題かというと、依頼した人自身が、その仕事の目的を理解していないということです。
ただ、手順に沿って仕事を進めているだけで、何のために確認するのか、何をどう確認するのかが全く考慮されていませんでした。
仕事が完全に形骸化していたと言えます。
目的を明確にしないとそもそも仕事が始められない。
本来、その書類を確認する仕事にも目的があったはずです。
例えば「ダブルチェックによって、○○のようなミスを検出する」という具合です。
先輩は、この目的を把握していなかったから、「全部確認して」という漠然とした言葉しか出てこなかったのだと思います。
目的を明確にしないと、そもそも仕事は始めるのは難しいです。
なぜなら、目的によって手段が変わってくるからです。
例えば、「確認」といってもデータの抽出漏れを確認するのか、誤字・脱字を確認するのかで、やる作業は大きく変わってきます。
仕事の目的を考えるのは、当たり前だけど、依頼する側。
今回の件は、私が確認事項を挙げ、その後確認作業にとりかかりました。
つまり、依頼された側が、仕事の目的を想像して作業にとりかかったというわけです。
依頼した人がその仕事の目的を理解していないケースは意外と多いです。
仕事の目的を考えるべきは、当たり前だけど、依頼する側だと思うのです。
漠然とした依頼を受けた場合は、依頼主にもう一度、仕事の目的を訊ねるのがよいと思います。
仕事の目的を明確にするメリット。
目的を共有していない場合、依頼主のやって欲しかった仕事と違うものが出来上がる場合があるでしょう。
その場合、一からやり直しをしなければいけない可能性もでてきます。
そうすると、時間を大幅にロスすることになります。
仕事の目的を明確にしておけば、作業に取り掛かるまでに、あれこれ悩まずに済むし、依頼主のやって欲しい仕事と、出来上がった仕事に大きな相違が生じることは少ないです。
それによって、ムダな時間を生みださずに済みます。
仮に、目的が無いのだとしたら、その仕事はやらなくて良い可能性が高いです。