2019年05月15日更新
島の山旅 第5弾は「小豆島(しょうどしま)」です。
小豆島は瀬戸内海にある島で、香川県に属します。
瀬戸内海では淡路島に次いで2番目に大きく、観光地としても有名な島です。
小豆島の概要は次の通り(小豆島 - Wikipediaより)。
- 瀬戸内海・播磨灘にある島。
- 人口は28,764人(2016年度推計)。
- 古代には「あずきしま」と呼ばれ、その後中世までは「しょうずしま」と呼ばれた。
- 素麺、醤油、佃煮、胡麻油、オリーブなどの生産が盛んであり、いずれも日本有数の生産地となっている。特にオリーブは国内栽培の発祥地として広く知られる。
小豆島には、実は登れる山が多くあります。
しかも、ゆったりハイキングを楽しめる山から、クライマーが登る岩場まで、バリエーションも幅広いのです。
これは行かないわけにはいきません。
小豆島までの道のり
「第二しょうどしま丸」で上陸です。
高松港から1時間ほどで着きます。
それほど揺れもせず席もゆったりしていて快適。
小豆島は飛行場がなく、また橋もかかっていないため、訪れるには船旅となります。
この日は、瀬戸内海最高峰の「星ヶ城山」(817m)と「碁石山(ごいしやま)」(434m)を目指します。
星ヶ城山 登山の概要
まずは、「星ヶ城山」からです。
場所はこちらです。
<登った山>星ヶ城山(小豆島)
<とき>2017年11月23日(木)
<メンバー>単独
<天気>晴れ
<ルート>
紅雲亭(こううんてい)→表十二景の遊歩道→四望頂(しぼうちょう)→山頂駅広場→三笠山→西峰→星ヶ城山(東峰)→西峰→三笠山→山頂駅広場→裏八景の遊歩道→石門洞→紅雲亭
<行程>
09:20 紅雲亭
1010 四望頂
10:20 山頂駅広場
10:30 三笠山
10:50 西峰
11:20 星ヶ城山(東峰)
14:00 石門洞
14:30 紅雲亭
コース詳細はこちらを参考にしてください。
星ヶ城山 - ほしがじようやま:標高816m-中国・四国:寒霞渓 - Yamakei Online / 山と溪谷社
星ヶ城山 登山の詳細
今回は、「寒霞渓(かんかけい)」という渓谷を通り、瀬戸内海最高峰の星ヶ城山を目指します。
寒霞渓は、1300万年前の火山活動でできた渓谷で、日本三大渓谷美のひとつとして知られています。
ちなみに、他の二つは、耶馬渓(やばけい)と妙義山(みょうぎさん)です。
09:20 紅雲亭
紅雲亭はロープウェイの発着駅です。
ここから表十二景の遊歩道へ入っていきます。
落ち葉が一面を覆っていて、すっかり秋も深まっていました。
表十二景の遊歩道では、奇岩などの自然の造形美を12景楽しむことができます。
これは、第8景 層雲壇(そううんだん)。
雲が段々と重なり合うようで、祭壇を連想させるため、そう名付けられました。
ちなみにロープウェイは、この岩のすぐ側を通過していくそうです。
広くて気持ちのよい車道に出ました。
ここからはしばらく、この車道沿いの小道を進んでいきます。
10:10 四望頂(しぼうちょう)
四望頂からの見晴らしはとても良くて、面白い奇岩も観察することができます。
10:20 山頂駅広場
ロープフェイの寒霞渓山頂駅の広場に到着しました。
トイレ休憩を済ませ、先へ進みます。
10:30 三笠山
三笠山を越えても、しばらくは整備された道が続きます。
10:50 西峰
視界が開けた岩場に出ます。
ここが西峰です。草壁港が良く見わたせます。
山頂までもう少しというところでこんな看板がありました。
鍛冶場跡
城を築くために必要な金具や武器を製造するために築いた鍛冶場跡。
多数の鉄滓の散乱が確認されている。
看板より
なんでこんな山の頂上付近で武器つくるの?と思って調べてみたら、どうやら「佐々木信胤(ささきのぶたね)」という人物が関係しているらしいのです。
この信胤さんは、南北朝時代の武将。
もともとは足利尊氏(北朝)の味方で、京都での戦いでも活躍していたそうです。
ところが、同じ足利尊氏の家来である「高師秋(こうのもろあき)」の愛人である「お才の局」を奪って南朝に寝返ってしまいます。
その後、信胤は、お才の局を連れ小豆島に渡り、星ヶ城山の山頂に城を築きます。
さきほどの鍛冶場跡は、このときに築いた城と関係するものだそうです。
淡路島を拠点とした8年後に、淡路・阿波・讃岐・備前4か国の大軍を率いた北朝側の淡路守護細川師氏により攻撃を受け、信胤は討たれてしまいます。
ちなみに、信胤さんとお才の局の話は、島の農村歌舞伎として現代にも残っています。こちらのブログに星ヶ城について詳しく書かれているので、興味のある方はどうぞ。
星ヶ城 - お城散歩
ここですごく道に迷っているっぽい男性と遭遇。
「星ヶ城山ならこっちですよ。」と言うと、
「Oh,日本語だめ。I can’t speak Japanese.」と返ってきました。
すかさず「私も英語ダメです。」と言おうと思ったが、その英語すら出てこなかったので、「O.K. Let’go.」と言って、見知らぬ外国人との旅が始まりました。
中学校で習った英語を駆使しながら、なんとか会話を続けていると、星ヶ城山に着きました。
11:20 星ヶ城山(東峰)
頂上には、こんな遺構があります。
先ほどの外国人と話をしながら、頂上でひと休み。
どうやら、彼は香港から来たようで、小豆島にも何度か来たことがあるようです。
ここでは、Kさんと呼ぶことにしましょう。
「千年前の人々もきっと同じ景気を見たんだろうね。」という感じの英語はなんとか聞き取れたので、「そうだね。」と返しました。
その後も何か話していたのですが、全く聞き取れなかったので、真顔でうんうんと聞いていると、急に、「Oh, it’s a joke.」と言って笑い出したので、「もう~勘弁してよ。ジョークだと思ったよ。」みたいな感じで笑うしかありませんでした。
休憩を終えて、再び歩きだしました。
山頂駅広場まで戻ったら、次は裏八景の遊歩道へ。
これは裏八景のひとつ、「松茸岩」。
火山活動でこんな奇岩ができあがったそうです。
「松茸岩」からの眺めもすばらしいです。
Kさんと映画の話になりました。
Kさんは最近日本の映画を観たのだけど、その題名が中々思い出せない様子。
「ほらあのキリシタンのやつ。」って言われて、私もちょうど同じ映画を観ていたので、すぐにピンと来たのだが、題名が思い出せません。
しばらく二人でうーんとうなりながら歩きました。
急に思い出して、「『沈黙 ―サイレンス―』!」と少し興奮気味に言うと、Kさんは「それだ!」ともっと興奮して、気が付くとなぜかハイタッチしていました。
映画『沈黙 ―サイレンス―』は隠れキリシタンがテーマの話。
「実は、小豆島にも隠れキリシタンがいたみたいだよ。」と言うと、Kさんは驚いていました。
小豆島へキリスト教が渡来したのは1586年である。
(中略)
しかし1587年、秀吉の禁教令により宣教師らは日本からの退去令が出され、1630年頃までにはほとんど根絶するまでになった。しかしこの弾圧にも関わらず多少の隠れキリシタンは存在したものと思われる。
歴史 | 小豆島旅ナビ
島内には、ロザリオを首にかけた石仏なども見つかっているようです。
14:00 石門洞
そして、「石門洞」へ到着。
名前の通り、自然にできた石の門が出迎えてくれます。
この門の下をくぐれるようになっていて、そこから見える景色は絶景です。
ちなみに右下の人がKさん。ずっと「ビューテホー」って言ってました。
石門をくぐると、すぐに本堂が現れます。
本堂は険しい岩壁の洞窟を利用して建てられ、そのすぐ側には不動明王大石仏が彫られています。
「石門洞」は小豆島霊場18番札所にあたり、かつて弘法大師が洞窟に篭をもつて護摩修行した場として知られているそうです。
石門をくぐり、岩壁の洞窟に作られた本堂をみると、なんだか現実離れした空間に感じられます。
14:30 紅雲亭
紅雲亭に戻ってきました。
Kさんが草壁港に行くというので、車で送ってあげました。
お別れのとき、Kさんはおもむろに手を差し出し、こう言いました。
「Nice to meet you.」
おいおい「Nice to meet you.」は「はじめまして」と習いましたよ?
別れ際のKさん渾身のジョークでしょうか。
それとも、「会えてよかったです。」みたいな意味もあるのでしょうか。
イチかバチかで「Nice to meet you, too.」と彼の手を握りました。
Kさんの口から「It’s a joke.」は飛び出さなかったので、多分「会えてよかったです。」という意味だったんだろうと思います。
「Have a nicee trip.」と言って、Kさんに手を振りました。
「碁石山(ごいしやま)」のトレッキングは次回の記事で、お話します。