2019年05月18日更新
島の山旅 第6弾は「豊島(てしま)」です。
豊島は、小豆島の西3.7kmにある島で、直島諸島に属しています。
豊島の概要は次の通りです(豊島 (香川県) - Wikipediaより)。
- 檀山(最高峰) 標高339m。島のほぼ中央に位置し、頂上からは瀬戸内の島々を一望できる。
- 水資源に恵まれ、自給して余るほどの農産物が生産されていた。また早くから酪農も行われていた。瀬戸内の潤沢な漁場に恵まれて漁業も盛んで、文字通りの「豊かな島」であったが、過疎化と高齢化の煽りを受け、いずれの産業も不振に見舞われている。
小豆島からほど近いこの豊島の中央には、標高339mの檀山(だんやま)と呼ばれる山があります。
眺めがよく、瀬戸内海の島々が見渡せるとのことです。
また、近年ではアートの島として認知されており、島内には多くのアート作品が展示されています。
今回は、檀山の頂上を目指し、その後、アート作品を巡ってみることにしました。
檀山までの道のり。
今回は、小豆島を巡った後に、そのまま豊島を目指すことにしました。
小豆島の土庄港(とのしょうこう)から出発しました。
この小さな船で豊島へ渡ります。
着いたのは、豊島の唐櫃港(からとこう)です。
港の前のメインストリートです。
この道沿いにある「からと港レンタサイクル」で自転車を借りました。
お店のご主人は朝早くからお店を空けて待っていてくれて、地図を持って島の見どころを親切に教えてくれました。
普通の自転車と電動自転車があったので、迷わず電動自転車を選んで出発します。
檀山登山口を目指します。
段々畑。左上にヤギがいます。
豊島は古くから農業・酪農・漁業が盛んで、文字通り「豊かな島」でした。
豊島には「農民福音学校」と呼ばれる農業学校があり、大学レベルの質の高い教育が受けられていたそうです。
豊島に残る豊かな食卓 「豊島農民福音学校」- The evangelistic school for farmers at Teshima island | 物語を届けるしごと
豊島の道は思ったよりアップダウンが激しいです。
ペダルを踏むと、アシスト機能がグンとペダルを押してくれるので、坂道も楽々登れます。
電動自転車にしておいて、本当によかったと思います。
西国三十三観音の第二十番札所「硯虻大師堂」。
豊島には西国三十三観音のミニ霊場があります。
お大師参りの日には、島外からも多くの巡拝客が来て、お接待を受けるのだそうです。
その様子は、どこか懐かしい日本の原風景のようです。
こんな風景がいつまでも見られたらいいなと思います。
海岸沿いに建てられた「海のレストラン」。
海を眺めながらのテラス席で、島内や瀬戸内でとれる食材を使った料理が楽しめます。
このときは寄ることができなかったのですが、次来たときは海を見ながらゆっくり食事してみたいです。
海のレストラン
そうこうしているうちに、登山口に来ました。
壇山 登山の概要
場所はこちら。
<登った山>壇山(豊島)
<とき>2017年11月25日(土)
<メンバー>単独
<天気>晴れ
<ルート>
豊島中学校→壇山山頂展望台→豊峰権現→岡崎公園(壇山展望台)→豊島中学校
<行程>
08:30 豊島中学校
09:50 壇山山頂展望台
10:10 豊峰権現
10:30 岡崎公園(壇山展望台)
11:20 豊島中学校
コース詳細はこちらの資料を参照しました。
こちらもどうぞ。
http://www.nijinet.or.jp/Portals/0/pdf/yama100/sheet/049.pdf
壇山 登山の詳細
08:30 豊島中学校
豊島中学校の近くに自転車を停め、いざ出発です。
頂上付近までずっと舗装路が続いているので、自転車で行くこともできるが、今回は歩いてみることにした。
道沿いには、変わった形をした祠がいくつも祀られていました。
実は、豊島は「石の島」としても知られていて、採石地としてだけでなく、石工の技術も高かったのです。
採石の歴史は鎌倉時代から始まったと伝えられています。
豊島には「豊島石」と呼ばれる凝灰岩が採れ、古くから石の島としても知られています。「豊島石」は、柔らかく加工がしやすいが火には強いという性質を持つので、灯篭や家庭の窯などにも多用されていました。「豊島石」は非常に品質が良かったため、重宝され、桂離宮の灯篭に多く使用されています。残念ながら時代と共に採掘事業は衰退し、現在、豊島で石を掘ることはなくなっていますが、石は豊島にとって非常に大切な文化です。
豊島について | 豊島観光ナビ
途中、ベンチがありました。
直島方面が見渡せる。
09:50 壇山山頂展望台
壇山山頂展望台に到着です。
山頂には、展望台と電波塔があり、開けています。
電波塔下からの風景です。
正面の左右に細長い島は、おそらく井島です。
島内に香川県と岡山県の県境があるという、極めて珍しい島です。
剥げて見えるのは、2011年に起こった大規模な山火事の影響でしょう。
展望台。
360度見渡せて気持ちがいいです。
船が着いた唐櫃港が見えます。
10:10 豊峰権現
県指定自然記念物の「豊峰(とよみね)権現社の森」。
「中腹の豊峰権現には、県の自然天然記念物に指定された常緑広葉樹のスダジイの森がある。これほどのまとまったスダジイの森は、島嶼部では豊島だけといわれている。中には推定樹齢が250年という巨木もあり、太古の森の雰囲気が漂う。」
発行者:辰野 勇, 『しま山100選 登山で見つける、新しい島の魅力』, 株式会社ネイチュアエンタープライズ, 2017年, p.67.
岡崎公園(壇山展望台)へ行く途中、道の脇の草むらがさわがしいので、のぞき込むとイノシシらしき生物の数頭の影が。
しばらく足音を立てずに並んで歩いていたが、向こうは気づいていないようでした。
10:30 岡崎公園(壇山展望台)
すごくよいロケーションです。
ベンチに座っていつまでもゆっくりしていたい場所です。
中央少し左にある、こんもりした島が男木島(おぎじま)。
その奥が女木島(めぎじま)。
この展望台の前はすぐ崖になっていて、高度感が味わえます。
11:20 豊島中学校
豊島中学校へ戻ってきました。
観光スポット&アート巡りへ。
登山後には、豊島の観光スポット&アート巡りをしました。
「いちご家」
いちご農家さんがみずから作ったスイーツ屋さんです。
パフェやかき氷、スムージー、クレープ、ソフトクリームなどがあって、どれもいちごを贅沢に使っています。
今回はパフェを食べることにしました。
「あなたが愛するものは、あなたを泣かせもする」
空家を改装した「イル・ヴェント」というカフェの中にあるアート作品です。
昔ながらの町並みが残る豊島。
こんな感じのたばこ屋に、昔よくお菓子を買いに行ってました。
「針工場」
針工場というアート作品です。
薬師寺の脇を抜けていくと、先ほどいた岡崎公園(壇山展望台)が見えました。
あんな場所にあったんですか。
「島キッチン」
豊島の野菜や魚をつかった料理が食べられるとして、人気のお店です。
とても混んでいて、この日は入るのをあきらめました。
開放的なテラスがあるモダンな形をしたこの店は、安部良氏の作品で、瀬戸内国際芸術祭2010の際につくられたものです。
豊島美術館
最後に豊島美術館へ。
豊島美術館
休耕田となっていた棚田を地元住民とともに再生させ、その広大な敷地の一角に、水滴のような形をした建物が据えられました。
(中略)
天井にある2箇所の開口部から、周囲の風、音、光を内部に直接取り込み、自然と建物が呼応する有機的な空間です。内部空間では、一日を通して「泉」が誕生します。その風景は、季節の移り変わりや時間の流れとともに、無限の表情を伝えます。
豊島美術館 | アート | ベネッセアートサイト直島
美術館の敷地内の遊歩道です。
中央の白い建物がカフェです。
気持ちのよい遊歩道を歩いていきます。
豊島美術館の「母型」の入り口。
入ると、真っ白で大きな空間が一気にひろがります。
その空間の広がりにはっとして、しばらく入り口で立ち止まってしまいました。
大きな空間の中には柱はひとつも無く、天井部には大きな穴が2つぽっかり空いています。
そこから、太陽の光や鳥のさえずり、風が自由に入ってきます。
現在アートってよく理解できないことが多かったのですが、この作品はすごく感動しました。
自然と人の調和がダイレクトに感じられます。
帰りにカフェに立ち寄りました。
カフェの中まで、その世界観が大事に守られています。
外国観光客の方が多かったです。
豊島美術館は国外での評価も高いといいます。
豊島のアートの象徴的な存在と言えるでしょう。
まとめ
今回訪れた豊島を一言で表すと「自然×アート」になるでしょう。
壇山の頂上に行くまでの道のりは舗装されていて、正直、登山としては面白味に欠けます。
それでも頂上からの眺めは抜群だし、多島美が楽しめる岡崎公園の壇山展望台のロケーションは最高です。
それに壇山にあるスダジイの森は、豊島の自然の豊かさを十分に感じさせてくれます。
そして、何と言っても外せないのが、アート作品の数々です。
特に豊島美術館は圧巻で、自然と人の調和を感じました。
久しぶりにアートを見て感動しました。
自然と人の調和を感じたこの豊島では、産業廃棄物の不法投棄が問題となり、今でも完全には解決していません。
自然とどう関わっていくべきだろうかと考えさせられた旅でもありました。