2019年05月25日更新
前回の記事では、沖ノ島の最高地点コウノ巣山(標高:119m)に到着したところまでをレポートしました。
今回はその続きです。
トレッキング前半の様子はこちらです。
「コウノ巣山」トレッキング詳細
12:00 第3砲台跡
コウノ巣山の山頂からほど近くに、第3砲台跡があります。
友ヶ島第3砲台は、島内の他の第1砲台・第2砲台・第4砲台・第5砲台・虎島砲台とともに、明治政府が紀淡海峡防備のため、由良地区(淡路島)、友ヶ島・加太・深山地区(和歌山市)に築造した由良要塞の一つの砲台です。
看板より
SNSなどでよく取り上げられているのが、この第3砲台です。
第3砲台は、島内の砲台の中で最大規模。保存状態も良いです。
第3砲台跡の概略図です。
4つの砲座に加えて、弾薬支庫、発電所跡、将校宿舎跡などが残っています。
まずは、砲座に向かいます。
さっそく地下になっていて、ここを抜けていきます。
暗!こわっ!
懐中電灯持っていかないと何も見えません。
振り返ります。
真っ暗の中を進んでいくと、広い倉庫のようなところに着きました。
何かを保管していたのでしょうか。
これ写真では分かりにくいんですが、カマドウマ?がたくさんいます。
足の長い巨大なコオロギみたいなやつです。
虫が苦手な人はご注意を。
何枚か写真を撮っていると、向こうの方からカップルの声が近づいてきました。
女性「いや~こわいよ~。」
男性「大丈夫だよ。」
そして、私に気付いた二人は、ギャーと叫びます。
こっちはこっちで大きい声出されて驚くから、私も叫びます。
私は話し声でカップルが近づいてくるのが分かるのですが、向こうからしたら、暗闇から急に男が現れるのでびっくりしたのでしょう。
カップルが私に驚いて叫び、その声で私が叫ぶというのが2回くらい続きました
(私は、映画などで急に襲いかかってくると分かってくるシーンでも「はあっ!」と声が出てしまうタイプなのです)。
ようやく外の明かりが見えてきました。
おうラピュタ…。
なんか思い出してきました。
手足が長くて目からビームがでるロボットが最後、こんな廃墟にいたような…。
そして、再び地下にもぐって次の砲座へ。
おうラピュタ…。
長い時間をかけて自然に溶け込んでいっている感じが伝わります。
これらの砲台は結局終戦まで使われることはありませんでした。
軍事目的でつくられた施設が少しずつ自然に溶け込んでいく様子を見ると、それだけ平和な時代が続いたんだなと思います。
ここで軍事に従事していた人たちはどんな気持ちで働いていて、ここを去るときはどんな思いがあったんでしょう。
弾薬支庫。
ここSNSで一番よく見る場所です。
将校宿舎跡。
「本島要塞の駐とん将兵が生活した宿舎が今も島内各所に一部残っていますが、この建物も将校宿舎でした。建物内部は純日本式間取りとなっており当時の将校達の憩いの場でありあました。」
看板より
南垂水キャンプ場に向かう途中、防空壕と言われている穴がありました。
13:20 南垂水キャンプ場
南垂水キャンプ場に到着です。
ここは広い広場になっていて、トイレもありキャンプ場としては最適です。
実際にテント張ってる人たちもいました。
キャンプファイヤーまでできるみたいです。
すぐ近くに海岸もあります。
ここで昼ご飯を食べます。
ベンチに座ってご飯の準備をしていると、カップルが走ってくるのが見えました。
男の子も女の子もなぜか全力疾走です。
そして、キャンプ場に着くなり、来た方向へ全力疾走で帰っていきました。
男の子が先を走りますが、女の子の足がとうとう止まってしまいます。
本当につらそうです。
男の子が引き返し、女の子に声をかえ、女の子が再び走り始めます。
これどういう状況?
何があったのかなと思いを巡らせてみました。
ここからは、完全に私の想像です。
13:30の帰りの船に乗ろうと思ったが、思ったより時間がある。
男の子「せっかくだし、南垂水キャンプ場、最後にちょっと見ていかない?まだ時間あるし。」
女の子「そうだね。」
二人で仲良く話しながら、キャンプ場へ向かう。
キャンプ場に向かう途中に、ふと時計を見ると、意外と時間がない。
やばい。時間がない。
でもここまで来ちゃったし。
もう、キャンプ場を一目見たい体になってるし。
男の子「走ろう。」
女の子「えっ。」
そして、何とかキャンプ場へ着く。
その瞬間、
男の子「戻ろう。」
女の子「えっ。」
私が時計に目をやると、13:30まで残り5分くらいでした。
そして、ここから船乗り場まで800mあります。
「大人の足でも10分かかるわ」と、となりのトトロでばあちゃんがサツキに言ったセリフみたく、心の中でつぶやきました(ちなみに、となりのトトロは結構詳細に覚えています)。
どこの島も、船の便はそれほど多くありません。
「あの二人間に合うかな。島に来たときは時間管理って大事だな。」と思いながら、カップルの背中を見送りました。
深蛇池(しんじゃいけ)に向かう途中、神島が見えました。
神島は元の名を「淡島」といいます。
神話において日本を創造したと伝えられる少彦名命(すくなひこなのみこと)と大己貴命(おほなむじのみこと)の祠がこの神島(淡島)に祀られたと伝えられています。
原則として、この島に上陸することはできません。
14:10 深蛇池
この深蛇池は、和歌山県の天然記念物に指定されています。
湿地帯植物が群生していて、約400種もの植物を見ることができるとのこと。
近くの看板には、「役行者が封じた大蛇が深蛇大王と化して法華修行を守護すべく、この沼に鎮座している。」と書かれていました。
最後は、虎島に向かいます。
虎島が見えてきました。
虎島へ渡る堤防はこのように崩れていて、水没しています。
虎島へ渡る堤防は途中で崩れています。
また、満潮時にはこの堤防は水没します。非常に危険ですのでご注意ください。
神島・虎島・地ノ島|和歌山市
14:40 虎島
虎島には、役小角の葛城二十八宿の第一番経塚である序品窟があり、現在も修験道の行場となっています。また、ここからたくさんの石が切り出され、和歌山城の石垣に使われました。海岸近くには、石を割ったノミの跡が今もたくさん残っています。
神島・虎島・地ノ島|和歌山市
この虎島は古くから修験場とされていて、現在も虎島の断崖絶壁で修行が行われているそうです。
戦時中、友ヶ島は一般の人の立ち入りが禁じられていたが、修行者は特別に入島が許可されたとのことです。
虎島にも、軍の遺構が多く残っています。
頂上付近には、役行者像がありました。
その向かいには、地ノ島(じのしま)が見えます。
シカが崖を駆け上がっていくのが見えました。
この島にいるシカは以前に人の手によって放たれたもので、現在は野生化しているそうです。
それでは、ぼちぼち15:30の船に間にあうように帰りましょう。
まだまだ間に合うと思ってゆったり歩いていたら、途中、時間がせまっていることに気付きます。
南垂水キャンプ場に着いたときには、残り5分もありませんでした。
気が付くと、さきほどの全力疾走カップルよりも猛ダッシュしていた自分がいました。
15:30 野奈浦桟橋
ぜいぜい言いながら、ギリギリで船に間に合いました。
時間管理って大事ですね。
まとめ
今回、「ラピュタ」をうろ覚えのまま、友ヶ島に上陸したのですが、確かにこういうシーンあったようなあとうっすら思い出すことができました。
また、改めて観返してみようと思います。
そのときには、世界観そっくり!ともう一度感動するかもしれません。
友ヶ島は、旧日本軍の遺構が数多くあり、戦争の歴史が色濃く残る島でした。
これらの軍事施設が使われなくなり、長い年月をかけて朽ちていく様子を見ると、日本は長い間平和な時間を過ごしたんだなと、ジーンと感動します。
遺構を巡りながらのトレッキングはこの島ならでは。
新鮮な体験でした。