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沼島② 国生み神話が伝わるおのころ神社|灘黒岩水仙郷も見ごろ

2019年05月25日更新

 

島の山旅 第9弾は「沼島(ぬしま)」。
沼島は、国生み伝説が残る不思議な島です。
前回の記事では、最高峰の石仏山(いしぼとけやま)に登りました。
前回の記事はこちら。

www.gojikitakubu.com

 

本記事では、その続きです。
国生み伝説の伝わる神社など沼島の歴史に迫っていきます。

 

 

「石仏山」トレッキング概要つづき

 

11:00 おのころ神社
おのころ神社に向かいます。

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石垣です。
変わった積み方をしています。
他の島でも、この立て積みを見たことがある気がします。

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地元のおじいさんと出会って少し話をしました。
最近は沼島にもイノシシが入ってきたとぼやいていました。
おそらく海を渡ってきたんじゃないかとのことです。

 

長い階段の上に神社があります。

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すこし小高い山に神社は建てられています。

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おのころ神社はイザナギイザナミの二神をお祀りしており、地元では、この山全体を「おのころさん」と呼んでいます。

 

神話の中では、最初に誕生する島が「おのころ島」といわれていて、「おのころ島」に降り立った二神が、淡路島を始め、島々を生成しましたので「おのころ島」は淡路島ではなく淡路島の近くの小島であるというのが通説となっております。
沼島 おのころ神社(自凝神社) - 淡路島WEB「あわじウェブドットコム」

 

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沼島出身の「岩田なつ」という方が、この神社の荒廃を憂いて本社再建に奔走し、大正時代に建てられました。

 

神話とか伝説って、案外史実に基づいていることが多いですよね。
日本という国を最初に作った人々が最初に降りたったのが、この沼島なのかもしれないと想像するとちょっとワクワクします。

 

港に出ました。

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細い路地を抜けていきます。

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11:20 梶原五輪塔
右から二番目の苔むしたお墓が、梶原景時のものです。

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この境内にある五輪塔は、永禄から天正初期にかけて島主として沼島水軍を支配していた梶原一族の祖、梶原景時の墓と言われています。
景時は、源平の石橋山の合戦で平氏方として源頼朝の軍を破ったが、洞窟に潜んでいた頼朝を故意に見逃し、後に源氏が復活した際に頼朝方につき、頼朝が死ぬまで側近として勢力を振るった人物です。
(県指定重要文化財
近畿自然歩道 環境庁兵庫県

 

梶原五輪塔の近くにある「八角井戸」。

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沼島では、井戸のことを川(かわ)と呼びます。
この川は生活用水として、今でも昔同様に、大事に使用されています。
八角の形は、中国の占いによると八角は、吉相を示していると云われており、沼島の伝説にも出てくる有名な井戸です。

 

11:30 沼島庭園
民家のすぐ脇の道を抜けると、沼島庭園があります。

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沼島庭園は、室町時代に足利義植がつくったと伝えられています。
義植は、将軍職を追われ13年間逃亡しますが、その期間中にこの沼島にもいたことがあります。

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沼島庭園は、室町時代に戦乱が続く都を離れ、沼島へ逃れてきた足利十代将軍義植が作庭したと伝えられている池泉鑑賞式庭園です。
王の森を背景に、黒色片岩や緑色片岩を用いて力強い石組みが施されているこの庭は、立体感に溢れ、山口県にある室町時代の画家雪舟の庭によく似ています。
県下で最古の室町時代の作庭として歴史的価値の非常に高い庭園です。
近畿自然歩道 環境庁兵庫県

 

「お食事処 あさやま」に寄ってお昼ご飯です。

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12:30 沼島八幡神社

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永享8年(1436)、梶原俊景が創建したと伝えられます。
沼島はかつては水軍の拠点であり、昔からの沼島の生活をうかがいしれる絵馬13額が掛けられており、全国的にも珍しい逆羅針盤が天井に奉納されています。
観光情報(沼島八幡神社/5月:春祭り) | 淡路島観光ガイド - 淡路島の観光や旅行、宿泊施設、温泉、グルメ、イベント情報がいっぱい!

 

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神社には多くのカラフルな絵馬が飾られています。

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これは「賤ヶ岳合戦」の絵馬です。

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近くの看板を要約すると、こんな感じです。

 

  • 豊臣秀吉柴田勝家が戦った「賤ヶ岳合戦」。この合戦で大活躍した秀吉側の若い武将たちは「賤ヶ岳七本槍」と呼ばれる。
  • 賤ヶ岳七本槍の一人、「脇坂甚内安治」がこの絵馬の主人公。この合戦に勝利した秀吉は安治に「淡路守」を命じる。「淡路守」は淡路を領有するが、一番の役割は大阪湾を見張ること。大阪湾の入り口にある沼島は非常に重要な拠点であった。
  • 沼島の人々は漁師として働きながら、「沼島水軍」として海路を守る役割も担っていた。秀吉は晩年、朝鮮出兵を全国に命じ、安治も沼島水軍とともに朝鮮に出兵する。七年もの長い戦いの中、命を長らえ、安治は帰国する。
  • 東シナ海を見てきた沼島水軍の人々は、船団を組んで一大漁業を展開する基礎を築く。後に「沼島千軒金の島」と呼ばれるほど豊かな島となる。豊かになったのは安治のおかげと、「沼島底曳網組」が代々この絵馬を奉納している。

 

羅針盤ってなんだ?と思って調べてみたけど、結局何か分かりませんでした。

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12:40 神宮寺
880年に開基されたお寺です。
このお寺の僧がさきほど紹介した八幡神社の守護にもあたっていたそうです。
梶原一族の菩提寺となっています。

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鬼瓦。
こんな瓦はじめて見ました。すごい迫力です。

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昔ながらのみちです。
おばあちゃんが乳母車を押しています。

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島にきて古い町並みをみると、なんだか昭和にタイムスリップしたような懐かしい気持ちになります。

 

13:10 観光案内所
沼島の観光案内所「よしじん」。

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中はカフェにもなっていて休憩できるし、島の情報も聞くことができます。

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13:20 沼島港
沼島ターミナルセンターに展示されている奇岩です。
この奇岩は「鞘型褶曲(さやがたしゅうきょく)」の特徴をあらわしています。

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「鞘型褶曲は地殻変動などの大きな力によって地層が変形してできる現象。断面が、刀の鞘を輪切りにしたバームクーヘンのような同心円状の模様をしていることから、鞘型褶曲と呼ばれる。フランスのブルターニュ地方のほか、国内の数カ所でしか確認されていないという。」
毎日新聞 平成23年12月16日より

 

この岩はなんと、もともとは民家の庭にあったのだそうです。

 

淡路島の土生港に戻ってきました。

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灘黒岩水仙

 

2月はスイセンの時期です。
近くにスイセンがたくさん見られるところがあると聞いたので帰りに寄ってみました。
寄ったのは「灘黒岩水仙郷」です。

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灘黒岩水仙郷は、諭鶴羽山から海に続く斜面に、野生のスイレンが500万本も生えた場所で、冬にはスイレンが一斉に咲き誇ります。
西暦1820年代に付近の漁民が海岸に漂着した球根を山に植えたのがだんだん繁殖したというから驚きです。
500万本の水仙 灘黒岩水仙郷 - 南あわじ市ホームページ

 

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さっきまでいた沼島がきれいに見えます。

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江戸時代の農民が海岸で拾った球根を植えたら、200年後にこんな風になりましたとさ。
なんかおとぎ話みたいです。

 

まとめ

 

沼島は淡路島のすぐ近くにある小さな島です。
1周をほぼ4時間で歩くことができます。
トレッキングコースはよく整備されていて歩きやすく、ときおり潮風を感じながら海の見渡せるコースを歩くのはほんとに気持ちがいいです。

 

国生み伝説が残るこの小さな島には、深い歴史がたくさん残っていました。
おのころ神話や海人族、そして沼島水軍など。
トレッキングだけでなく、歴史好きな人にもおすすめの島かもしれません。