鹿児島県の奄美大島にやってきました。
1日目は、「奄美パーク」で島の文化・自然を学び、「田中一村記念美術館」では一村の絵を楽しみました。
そして、「鶏飯みなとや」の鶏飯は絶品で本当においしかったです。
今回の記事では、「マングローブ原生林でのカヌー体験」と「奄美大島の最高峰・湯湾岳(ゆわんだけ)登山」についてレポートしていきます。
本州では見られない希少な動植物に出会うことができました。
そして湯湾岳登山の後には、「田中一村終焉の家」に立ち寄ります。
マングローブ原生林でのカヌー体験
この日は、まずマングローブ原生林でカヌー体験をしました。
12月末ですが、この日も24℃まであがる様子。
お世話になったのは、「黒潮の森マングローブパーク」。
黒潮の森 マングローブパーク (道の駅 奄美大島 住用)
「マングローブとは熱帯・亜熱帯の河口の湿地帯や沿岸部の干潟に生育し、潮汐によってある時間冠水される湿地に生育する樹木群の総称であり、マングローブ林は多数の植物により構成されていますが、マングローブ典型種と呼ばれる樹種は日本には7種分布しており、住用町では、メヒルギ・オヒルギの2種で構成されています。」
黒潮の森マングローブパークHPより
スタートはここ。
パドルの漕ぎかたを一通り教わって、いざ出発です。
列になって、どんどん進んでいきます。
広い河口に出ました。
このあたりはチヌの群れが見えると言っていた気がします。
マングローブの林が見えてきました。
実は「マングローブ」という種類の木はありません。
マングローブは、熱帯・亜熱帯の河口の湿地に生育している樹林の総称です。
この地域のマングローブ地帯は、主にメヒルギとオヒルギの2種類が生えています。
住用町マングローブは、住用川と役勝川が合流している河口にあり、約71haの広さです。
これは沖縄県西表島に次いで、日本では二番目の規模です。
細い支流に入っていきます。
どんどん浅瀬になっていきます。
行けるところまでいって、みんなでカヌーを並べて休憩です。
インストラクターの方がマングローブについて説明してくれました。
メヒルギやオヒルギは年輪がなく、幹の内部はコルク状につまっていて海水をろ過します。
オヒルギはメヒルギよりも少し大きくて、ところどころ葉が黄色いものがあります。
これは、特定の葉に塩分を集めるためで、かじるとしょっぱいそうです。
このマングローブ林には、様々な生物が集まってきます。
2m大のうなぎや、ハマグリぐらいの大きさのしじみ。
他にも、ハゼやカニ、ウミヘビなどもみられるそうです。
トビハゼがたくさんいました。
エラで歩くようにして移動します。その姿がなんともかわいらしい魚です。
この展望台のあたりには、「石原ヨシハラウエノ遺跡」とよばれる山城のようなものがありました。
室町時代から江戸時代のものと言われています。
「黒潮の森マングローブパーク」の近くのマングローブ林を歩いて散策してみます。
カニ。すぐ穴に隠れます。
これはメヒルギかオヒルギの花だと思います。
変わった形をしてますね。
この時間は、かなり潮が引いていました。
次は、湯湾岳登山に向かいます。
湯湾岳(ゆわんだけ)登山
湯湾岳は、奄美大島の最高峰で標高は694mです。
湯湾岳登山の概要
<とき>2018年12月23日
<天気>くもり
<距離>3.9k
<行程>
13:30 登山口(湯湾岳展望台)
14:40 奄美岳大師御堂
14:50 湯湾岳山頂
15:30 登山口(湯湾岳展望台)
登山口(湯湾岳展望台)
登山口には車を停めることができ、トイレもあります。
すぐに鳥居が現れます。
鬱蒼とした森です。
奄美大島は、年平均気温が20度を超し、年間降水量は3,000mm近くあり、亜熱帯気候に属します。
湯湾岳には、アマミノクロウサギなどの数多くの貴重な動植物が生息しています。
へゴでしょうか。
おもしろい模様をした木です。
さらに奥へと進んでいきます。
ふと足元を見ると、こいつが。
真っ黒いのです。ただただ黒いのです。
そして、少し大きいのです。
ちょっとだけ恐竜っぽいのです。
トカゲ?イモリ?
調べてみると、「イボイモリ」っていう種類みたいです。
参考:奄美野生生物保護センター
- サンショウウオ イモリ科
- 全長14~20cmで日本のイモリの仲間では最大。
- 奄美大島、徳之島、沖縄島、渡嘉敷島、瀬底島に生息。
- イモリ科の中で最も原始的な形態をとどめていて、「生きた化石」ともいわれている。
- 平地から山地にかけての常緑広葉樹林の林床に住んでいる。
- 無毒でおとなしい。
- 危険を感じると肋骨を広げ、体を大きく見せる行動をする。
「危険を感じると肋骨を広げ、体を大きく見せる」ってどうゆうことでしょうか?
イボイモリについてのおもしろいサイトを見つけました。
まるでゴジラ… 生きた化石・イボイモリ 沖縄本島 – Monsters Pro Shop
登山道にはこんな小さな水たまりがたくさんあります。
のぞいてみると、カエルの卵でしょうか。
おたまじゃくしが見えます。
道が細くなってきました。
向こうの方から女性が下を見ながら歩いてきます。
だいたいこういうときは、私が先に相手を見つけることが多いです。
だけど、相手は近くに来るまで気が付かなくて、わっ!と驚かれてしまうことがよくあります。
今回も、女性は全くこちらに気が付いていません。
驚かせるのもいやなので、結構離れた位置からあいさつすることにしました。
私 「こんにちは!」
女性「はぁーっつ!」
結局めちゃくちゃ驚かせてしまいました。
熱心に下を見ていたので、何か探しているんですか?と聞くと、「ユワンツチトリモチ」っていう植物を探しているんですと教えてくれました。
その植物は、変わった植物で、奄美大島の湯湾岳頂上エリアで見ることができるのだそうです。
さがしてみると、その「ユワンツチトリモチ」がありました。
一見、キノコのように見えますが、れっきとした植物です。
他の植物に寄生する、寄生植物です。
頂上付近は、木道が続きます。
鳥居の先に広場が見えます。
奄美岳大師御堂
広場の横には、「奄美岳大師御堂」と書かれたお堂が。
そして、その横には祠がありました。
湯湾岳は古くから霊峰としても崇められていて、奄美を開祖した二神が降り立った場所とされています。
その神を祀っているのでしょうか。
あっ、ヤツです。
これはおそらくリュウキュウイノシシの足跡です。
リュウキュウイノシシは奄美諸島から沖縄諸島にかけて分布している固有亜種です。
本州などの生息する二ホンイノシシとよく似ていますが、リュウキュウイノシシの方が一回り小さいです。
湯湾岳山頂
山頂に着きました。
展望はなく、木に囲まれています。
頂上には、この標識がありました。
奄美岳とも呼ばれているのでしょうか。
来た道を戻ります。
帰り道にあった変な形の木。
登山口(湯湾岳展望台)
登山口に戻ってきました。
今回は、約2時間のハイキングでした。
田中一村終焉の家
湯湾岳登山の後に、「田中一村終焉の家」に寄りました。
前日に、田中一村記念美術館に寄って以来、すっかり画家・田中一村の絵に惹かれてしまいました。
田中一村が、奄美で最期の時間を過ごした家があるというので、一目見てみようと思ったのです。
田中一村は奄美の自然を多く描いた画家です。
多くの作品が未公開のまま亡くなり、死後に注目され評価されました。
幼いころから絵のうまかった一村は神童と呼ばれ、現在の東京芸術大学に現役合格します。
しかし、わずか3カ月で退学し、そこから独学の道を進みます。
東京や千葉に住んでいたのですが、50歳のときに千葉を引き払い奄美に移り住むことを決意します。
奄美に移ってからは、奄美の自然を対象に精力的に絵を描き始めます。
低賃金の紬工場で働いてお金をためては、絵をかき、個展を開くことを目標にはげんでしましたが、結局個展を開く夢は実現しませんでした。
そして、奄美の家でひっそりと亡くなります。
中は畳が敷かれていて、とても簡素な造りです。
才能と実力を持ち合わせながら、世間に知られることなく亡くなった一村。
この奄美で、自分の納得いく絵は描けたのだろうかとふと思いました。