ウルトラライトハイキングを実践するために、今回は「バーナー」を見直しました。
- バーナー(ストーブ)の種類とは?
- それぞれのストーブのメリット・デメリット
- なぜガスバーナーなのか?
- 今使っているガスバーナーの機能は?どのくらいの重さ?
- ウルトラライトなガスバーナーに求める条件
- ウルトラライトなガスバーナーの候補
- 選んだのは…「SOTO/マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310」
- まとめ
バーナー(ストーブ)の種類とは?
バーナー(ストーブ)は、燃料別に大きく5つに分けることができます。
- ガスバーナー
- 液体燃料バーナー(ガソリン、灯油など)
- アルコールストーブ
- 固形燃料ストーブ
- ウッドストーブ
ガスバーナー
ガスカートリッジにバーナーヘッドを取り付け、つまみを回して火力を調整できるタイプ。
現在の主流。
(ガソリン、灯油など)
ガソリンや灯油といった燃料を酸素と混ぜ合わせ、噴出させて使用する燃焼器具。
燃焼までの一連の手順は、燃料の入れ替えにはじまり、加圧ポンピング、着火、余熱のためのプレヒートという作業を行い、実際の燃焼が始まる。(※)
※参考:ホーボージュンら, 『山岳装備大全』, 株式会社山と溪谷社, 2011年. p176
アルコールストーブ
ストーブにアルコールを注ぎ、そのアルコールを燃焼させることで火力を得るタイプ。
ストーブの構造が単純であるため、軽量なものが多く、空き缶などで自作する人も多い。
固形燃料ストーブ
固形燃料を燃やすことで火力を得るストーブ。
固形燃料を燃やす簡素な台のようなものが多いが、ゴトクや風防と一体化したものもある。
有名なメーカは「Esbit(エスビット)」。
ウッドストーブ
小枝などを燃料としたストーブ。
小枝が効率よく燃えるように設計されたモデルもある。
有名なメーカは「solo stove(ソロストーブ)」。
それぞれのストーブのメリット・デメリット
次に、それぞれのストーブのメリット・デメリットを見て行きましょう。
メリット | デメリット | |
ガスバーナー | ・軽量でコンパクト ・「プレヒート」作業が不要で、扱いが容易 ・火力調整が容易 |
・気化熱の冷却作用によって火力が落ちる ・低温ではガスの気化が進まず使えないことがある |
液体燃料バーナー (ガソリン、灯油など) |
・火力は比較的強い ・燃費がいい ・外部やボトルの温度に関係なく、火力を維持できる ・低温に強い ・燃料の入手が容易 |
・燃焼前にあらかじめ熱する「プレヒート」という作業が必要なため、やや扱いにくい ・重量は重め |
アルコールストーブ | ・圧倒的に軽くコンパクト ・燃焼計算が容易なため、余分な燃料を持つ必要がない ・燃費がよい ・低温化での着火性が高い |
・火力が弱い ・耐風性が低い ・安定感に乏しい |
固形燃料ストーブ | ・圧倒的に軽くコンパクト ・燃焼計算が容易なため、余分な燃料を持つ必要がない ・燃費がよい ・低温化での着火性が高い |
・ススが発生する ・火力が弱い ・耐風性が低い ・安定感に乏しい |
ウッドストーブ | ・燃料費がかからない ・燃料を携帯しないため、飛行機への持ち込みが可能 |
・ススが発生する ・燃料集めに苦労することがある ・点火にある程度テクニックが必要 |
参考:
高橋庄太郎, 『山道具 選び方、使い方』, 株式会社枻(えい)出版社, 2013年. p81-p.95
ホーボージュンら, 『山岳装備大全』, 株式会社山と溪谷社, 2011年. p165-p.184
土屋智哉, 『ウルトラライトハイキング』, 株式会社山と溪谷社, 2017年, p.150-154.
なぜガスバーナーなのか?
それでは、ウルトラライトハイキングを実践するには、どのバーナー(ストーブ)を選択すればよいのでしょうか。
実際に、ウルトラライトハイキングを実践している人は、「アルコールストーブ」もしくは「固形燃料ストーブ」を選んでいる人が多いように思います。
それは、この2つが他のバーナー(ストーブ)と比較して、圧倒的に軽量でコンパクトなものが多いためでしょう。
セオリー通りにいけば、「アルコールストーブ」もしくは「固形燃料ストーブ」になるでしょう。
しかし、今回は「ガスバーナー」を選びたいと思います。
なぜ、ガスバーナーを選ぶかと言うと、「扱いが容易であること」と「軽量コンパクトであること」が理由です。
扱いが容易であれば、時間を省略することができます。
ロングトレイルなどでは、歩く時間をなるべく多くとって距離を稼ぎたいことがあります。
キャンプをした朝、さっと湯を沸かしてごはんを作ることができたり、ハイキング中の休憩に手早くコーヒーを作れたりするのは、かなり魅力的です。
扱いの容易さが、ガスバーナーの最大のメリットかもしれません。
そして、ガスバーナーは、アルコールストーブや固形燃料ストーブほどではありませんが、比較的軽量でコンパクトです。
100gを切るモデル(バーナーヘッドのみ)もいくつかあります。
上の理由から、「ガスバーナー」を選択しました。
今使っているガスバーナーの機能は?どのくらいの重さ?
今使っているガスバーナーは、SOUTH FIELD(サウスフィールド)の「クッカー&バーナーセット」です。
「(シングルバーナー)
寸法/幅90×奥行120×高さ82mm(本体のみ)
重量/200g(本体のみ)
点火方式/圧電点火方式
材質/バーナー・器具栓つまみ・ゴトク:ステンレス、点火スイッチ:樹脂
火力/2.7kW(2300kcal/h)(レギュラーガス250使用時)
使用時間/約1.7時間(レギュラーガス250使用時)
付属品/収納ポーチ」
【楽天市場】未使用 【中古】 未使用 SOUTH FIELD クッカー&バーナーセット 3400C サウスフィールド アウトドア SF 3400C O2750005:ReRe(安く買えるドットコム)
このSOUTH FIELD(サウスフィールド)の「クッカー&バーナーセット」は、学生時代に買ってかれこれ10年以上使っています。
キャンプもハイキングも全く知らない学生時代の私が、ふと山で調理したいと思いつきで買ったのがこれです。
こいつとは本当に色んなところへいきました。
火力もまずまずでかなり安定感もあるのですが、バーナーヘッドだけで200gもあります。
思い入れのある品ですが、さすがにウルトラライトハイキングには向きません。
ウルトラライトなガスバーナーに求める条件
それでは、ウルトラライトハイキングにあうガスバーナーとはどんなものでしょうか。
ガスバーナーに求める条件を挙げてみました。
△重さは100g以下
△風に強い
重さは100g以下
現在使っているバーナーが200gなので、半分の100g以下のものを探します。
風に強い
ハイキング中に湯を沸かそうと思ったら、風が強くて思いのほか苦戦することがあります。
風の弱いところをさがしたり、ガスバーナーの周りを荷物や石でさえぎって風が当たらないようにしたりと工夫しなければいけませんでした。
風に強いという条件があれば、かなり心強いです。
ウルトラライトなガスバーナーの候補
とりあえず重さが100g以下のガスバーナーを洗い出してみました。
100g以下のガスバーナーは、以下の10個が見つかりました。
△SOTO/マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310
△SOTO/マイクロレギュレーターストーブ SOD-300S
このうち、「風に強い」と謳っているものが、以下の5つ。
△EPIgas/QUO STOVE
△スノピーク/ギガパワーマイクロマックスウルトラライト
△SOTO/アミカス SOD-320
△SOTO/マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310
△ジェットボイル/マイティーモ
この5つのタイプを詳しくみていきましょう。
製品名 | QUO STOVE | ギガパワー マイクロマックス ウルトラライト |
SOD-320 |
マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310 |
マイティーモ |
メーカー名 | EPIgas | スノピーク | SOTO | SOTO | ジェットボイル |
重さ | 98g | 56g | 81g | 67g | 95g |
最大出力 |
2600kcal |
2,800kcal/h | 2,600kcal/h | 2,800kcal/h | 2519kcal/h |
使用時間 | 約120分 | 情報なし | 約1.5時間 (SOD-725T 1本使用時) |
約1.5時間 (SOD-725T使用時) |
情報なし |
点火装置 | あり | なし | あり | あり | あり |
収納サイズ |
H89×D52× W54mm |
44×35× 82(h)mm |
幅40×奥行43×高さ75mm | 幅47×奥行51×高さ88mm | 直径5.1cm×高さ7.6cm |
価格 | ¥6,000(税抜) | ¥6,900 (税別) | ¥4,800(税別) | ¥7,400(税別) | ¥7,700 |
特記事項 | 低燃費(190g/h) | 圧倒的な軽さ | 高い耐衝撃性 | 外気温に左右されない マイクロレギュレーター搭載 |
氷点下(-6℃まで)でも 安定した火力を発揮する サーモレギュレーター搭載 |
選んだのは…「SOTO/マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310」
この中で気になったのは、以下の2つ。
△SOTO/マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310
△ジェットボイル/マイティーモ
ガスバーナーのデメリットはなんと言っても低温に弱いこと。
液状のガスを気化することで火力を保つ仕組みなのですが、低温だと気化が進みにくく火力が保てないことが多いのです。
しかし、この2つのモデルは、ある装置によってこの問題を解決してくれています。
「マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310」では「マイクロレギュレーター」と呼ばれる装置。
「マイティーモ」では、「サーモレギュレーター」と呼ばれる装置です。
いずれも低温化でも安定した火力を保つための装置です。
「マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310」は-5℃、マイティーモは-6℃まで対応できます。
寒い冬の日に、十分に湯が沸かなくて、ぬるーいカップラーメンを食べた記憶がよみがえります。
「低温に強い」というスペックはぜひとも欲しいところ。
そこで、2つのうちより軽い「SOTO/マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310」を選びました。
「バーナーヘッドをすり鉢状に窪ませることで横風の影響を少なくし、強風下でも消えにくい。低温化でも火力が低下しにくいマイクロレギュレーターを搭載している。軽量な3本ゴトク(7g)が付属し、これを取り外して安定性が高く4本ゴトクにチェンジも可能だ」
『PEAKS 4月号 2019年3月15日発売』, 株式会社枻出版社, 2019年, p.136.


まとめ
今回のガスバーナーの購入で、どれくらい軽量化ができたでしょうか。
今まで使っていた「SOUTH FIELD(サウスフィールド)の」の重さが「200g」。
「マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310」の重さが「67g」。
「200g」-「67g」=「133g」
ということで、「133g」の軽量化に成功しました。
ガスバーナーだけで130g以上軽量化できるとは思っていなかったので、これはうれしいです。
「マイクロレギュレーターストーブ ウインドマスター SOD-310」は、軽量でコンパクトなのはもちろん、風や低温にも強く、本当に高スペックなアイテムだと思います。
トレイルで実際に使った感想をいずれ報告したいと思います。
ちなみに、飛行機を使う場合はガスストーブを持ち込めないので、ウッドストーブを選択しています。
使用しているのは、Solo Stove Lite(ソロストーブライト)。
Solo Stove Lite(ソロストーブライト)については、こちらをご覧ください。