前回の記事では、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の「安満岳」と「春日集落」を訪れた様子を紹介しました。
今回の記事では、「川内峠(かわうちとうげ)」と「平戸オランダ商館」を紹介したいと思います。
川内峠
平戸市の北部にある峠で、草原が広がっています。
ここからは360°のパノラマが広がります。
長崎の多島美が楽しめます。
これはなんでしょうか。
馬みたいな標識が建っています。
よく見ると「九州オルレ 平戸コース」と書かれています。
調べてみると、「オルレ」というのはトレッキングコースのことのようです。
「「オルレ」は韓国・済州島から始まったもので、もともとは済州島の方言で「通りから家に通じる狭い路地」という意味。自然豊かな済州島で、トレッキングする人が徐々に増え、「オルレ」はトレッキングコースの総称として呼ばれるようになり、今では韓国トレッキングの中心的コースになっています。 オルレの魅力は、海岸や山などを五感で感じ、自分のペースでゆっくりとコースを楽しむところにあります。」
九州オルレ◆平戸コース | 達人Navi平戸|世界文化遺産の島、長崎県平戸市の旅行は平戸観光協会
九州オルレは、済州オルレの姉妹版で、この馬の標識は、済州島の原生馬がモデルになっているようです。
若草の育成のために、毎年2月に野焼きが行われているそうです。
この美しい景観は、人の手によって保存されているんですね。
頂上付近にはキャンプ場があります。
ここでキャンプしながらゆっくり過ごしたら気持ちよさそうです。
すすきが広がります。
「塩上げ石」
今から約650年前、ある塩行商人が毎日この川内峠を越えて商売に通っていました。
川内峠山頂近くにあるこの大石に、ひとつまみの塩をのせて、安満岳の神様に手を合わせ将来の成功を祈願しました。
やがて、この商人は平戸一円を領するほどの長者になったと伝えられています。
次は、「平戸オランダ商館」へ向かいます。
平戸市の中心に来ました。
中央に平戸大橋、右側に平戸城が見えます。
別の方角には、お寺と教会が立ち並ぶ姿が見えます。
この平戸は、鎖国時代にも交易の玄関口となった場所で、様々な文化が入り混じった面白い街です。
平戸オランダ商館
平戸オランダ商館に着きました。
平戸オランダ商館 Official Site 国指定史跡「平戸和蘭商館跡」復元建造物-平戸オランダ商館 Official Site
江戸時代の貿易といえば、出島を思い浮かべますが、実は出島の前に貿易していたのは、この「平戸オランダ商館」です。
「平戸オランダ商館のある崎方町一帯は、1609年(慶長14)和蘭船が入港し、1641年(寛永18)長崎出島に移転するまでの約33年間、平戸が我が国唯一のオランダ貿易港として賑わいました。」
平戸オランダ商館|観光スポット|【公式】長崎観光/旅行ポータルサイト ながさき旅ネット
1782に川内浦に引き揚げられた、オランダ船の錨(いかり)。
ポルトガル船の模型です。
1550年、平戸にポルトガル船が初めて入港し、それがきっかけとなってヨーロッパ諸国との交易が始まります。
当時の平戸領主は入港を歓迎し、貿易とともにキリスト教の布教の許可も与えました。
フランシスコ・ザビエルは平戸で布教を行い、わずか20日間の布教活動で、100余名の信者を獲得したそうです。
ポルトガル人の服装。
当時のオランダ船に搭載されていた標準的な大砲です。
始めは順調だった布教活動ですが、1587年には豊臣秀吉によって、キリスト教は禁止されてしまいます。
館内には、豊臣秀吉キリシタン禁制定書なども展示されています。
江戸時代の禁教政策により、オランダ・イギリス人を父にもつ子や、その妻になったことがある女性が日本からインドネシア・ジャカルタに追放された。
追放された人々が、日本の肉親知人にあてた手紙などもありました。
1600年、日本に初めて漂着したといわれるオランダ船リーフデ号の模型です。
この模型をみると蒸気船ではなく、帆を風で受けて走る帆船だったようです。
商館での生活を再現したものです。
商館員たちの生活はある程度自由な生活が許されていたようです。
その後、交易は出島に移されるのですが、出島はもともとポルトガル人を隔離するための施設であったため、監視が厳しく平戸よりも窮屈な生活でした。
「日本誌」1733年
ドイツの旅行家・医師のケンベルによって記された「日本誌」。
オランダ商館長が将軍に謁見している場面が描かれています。
1700年ごろに出版された地図帳。
ある程度の精度はありますが、地形や配置、大きさなどは、実際のものとは異なっていて、まだまだ不完全な地図という感じがします。
当時の平戸商館の図です。
外に出ると、すっかり日も暮れていました。
市街地が一歩入った場所に、寺院と教会が見える場所があります。
暗くなって分かりにくいですが、ライトアップされた平戸ザビエル記念協会が浮かび上がっていました。
めしどころ「一楽」
お腹もすいたので、めしどころ「一楽」に寄ります。
めしどころ 一楽
長崎と言えば、ちゃんぽん。
一楽は昭和4年に創業した老舗店で、10種類のちゃんぽんメニューがあります。
地元でとれた野菜や魚介が使われていて、具だくさんです。
平戸島まとめ
今回は、長崎県平戸市にある平戸島を巡りました。
最初に訪れたのは、潜伏キリシタン関連遺産の「安満岳」と「春日集落」。
そして、後半は「川内峠」と「平戸オランダ商館」に寄りました。
今回の旅で、潜伏キリシタンと呼ばれる信仰がどうして生まれ、どのような経過をたどっていったのかがよく分かりました。
潜伏キリシタンの人々の悲しい歴史を知って、信じたいものを自由に信じるということが、難しい時代があったのだと実感しました。
安満岳や川内峠の頂上からみえる景色は絶景で、歴史を追いながらハイキングするという体験は新鮮でした。
平戸島には、「九州自然歩道」のルートが設定されていて、島をハイキングで縦断することができます。
また、島の南には、志々伎山(しじきやま)という面白そうな山もあるので、次は北から南までのロングトレイルを楽しみたいです。