今回訪れたのは、香川県三豊市の粟島(あわしま)。
瀬戸内海に浮かぶ周囲16kmの小さな島です。
3つの島が砂州でつながっていて、スクリュー状の変わった形をしています。
今回は、この島にある阿島山と城山(じょうのやま)ハイキングをして、その後に島を観光しました。
- 粟島汽船で香川県粟島へ|ルポール粟島に宿泊
- 阿島山・城山(じょうのやま)ハイキング
- 「民宿ぎんなん」でコースランチ
- 「ぶいぶいガーデン」
- 粟島芸術家村(粟島中学校)
- 粟島海洋記念館(国立海員養成学校)
- 瀬戸内海底探査船美術館プロジェクト
- 漂流郵便局
- 香川県粟島まとめ
粟島汽船で香川県粟島へ|ルポール粟島に宿泊
三豊市の須田港から粟島汽船に乗って、粟島に向かいます。
この日は宿泊のみだったので、夜の便(18:00発)で向かいます。
夜に船に乗ることはあんまりないので、なんかワクワクします。
わずか15分の船旅で粟島に到着です。
この日はルポール粟島に泊まります。
宿泊のご案内 - ル・ポール粟島
ひとりですが、洋室ツインを用意してくれました。
広々した部屋です。
朝、窓を開けると日が昇ってました。
なんだかいい天気になりそうです。
少し霧がかっていますが、日差しが気持ちいいです。
ネコが日向ぼっこ。
粟島の町並みが見渡せます。
高い建物はなくて、昔ながらの日本家屋が立ち並びます。
途中の神社に立ち寄ってみました。
ここは「粟島神社」とよばれる神社です。
中に入ると、弓矢の的のようなものが見えます。
なぜ弓矢の的?と思って調べてみると、実はお祭りに使われるそうなのです。
神様の前で矢を射て、厄払いと大漁・豊作、海上安全など祈願するお祭りです。
古くから受け継がれている伝統で、塩飽広島なんかでもその行事が残っていると聞きます。
- 香川県三豊市- 百々手祭(ももてまつり)
梅の花でしょうか。
阿島山が見えてきました。
本当にきれいな砂浜です。
阿島山一周コースの入り口です。
どうやって入るん?
阿島山・城山(じょうのやま)ハイキング
阿島山・城山(じょうのやま)ハイキングの概要
<とき>2019年01月13日
<天気>晴れ
<距離>8.6km
<行程>
09:00 阿島山登山口
10:40 阿島山登山口
11:30 城山登山口
11:50 城山山頂
12:20 城山登山口
阿島山・城山(じょうのやま)ハイキングの詳細
09:00 阿島山登山口
ササをかき分けてなんとか歩ける道に出ました。
泥がたまっているなあ。
くんくん。なんか臭い。
よーく見ると…
ヤツだ!
イノシシです。
イノシシはこういう泥がたまった場所で泥浴びして、身体に着いた寄生虫を落としたりします。
このような場所を「ヌタ場」というそうです。
最近、私はイノシシの形跡を見つけるのにはまっています。
足跡は結構見つかるもので、たまに本物に合えることもあります。
私のほうが先に見つけて、びっくりさせることもあります。
阿島山一周コースは、「阿島山ミニ西国三十三番」の石仏が並んでいます。
ときおり、こんな道があって苦戦します。
瀬戸内海の小さな島とは思えない豊かな森ですね。
私はいろんな島でハイキングしているのですが、ハイキング中に人とすれ違うことはほとんどありません。
屋久島などの有名な島は別ですけどね。
こんな風変りなハイキングしている人、他にもいるのかな。
どんなハイキングしているのかは、こちらをご覧ください。
森の中からふと見える海。
森の中にいるのに、ふと海が見えるのが楽しいのです。
この道を抜けると、もうすぐ登山口です。
10:40 阿島山登山口
登山口近くの海。
次は、城山の頂上を目指します。
城山に向かう途中、こんなすてきな道を見つけてしまいました。
木のトンネルって、見つかるとテンション上がりますね。
これが今から登る城山です。
城山の頂上近くで、おばさまに話しかけられました。
「男の子は…男の子はいらんやろうけどな。
まあ…あげよか、いや、いらんやろうけどな。」
おばさまが差し出してきた小さな袋には、きれいな貝が入っていました。
聞くと、この粟島の砂浜で拾った貝なのだそうです。
家の前を通る観光客に無料で配っているのだといいます。
有難くいただくことにしました。
「この島は何にもないところだから。」
ふと、見ると塀の上をつたって、ネコがさわれそうな距離まで近づいてきて甘えるような仕草をしています。
気が付くと、他にも数匹のネコが集まっていました。
どうやらこの家で飼われているようです。
玄関先を見ると、カゴがつるさげてあって、中に大きなオウムがいました。
「これ、オウムのピー子。ようしゃべるんよ。」
「キエリインコいうてな。
エリのところが黄色いやろ。オウムの中でもよくしゃべる種類みたいなんよ。」
「なんでも食べるんよ。肉が好きなんよ。」
「肉ですか!?」
「うん。あと、昔はコーヒーも飲みよった。」
「今、46歳。」
「えっ、46歳!?」
「しかも、あと30年は生きるらしい。
この子が死んだとき、私100歳超えとるわ。」
おばさまはそう言って、ハハハと笑っています。
オウムって、めちゃくちゃ長生きするから、飼うときは本当に注意しなきゃいけないそうです。
「一回自分で扉開けて逃げてな。大変やったんよ。
めずらしいオウムやからいうて、島のみんながつかまえるの手伝ってくれてな。
しまいには、うどんを釜揚げするときの大きなタモ(網)があるじゃろ?
あれで捕まえたんよ。」
おばさま、この島に何にもないとおっしゃいましたが、とっても面白いエピソードあるじゃないですか。
「今から城山行くん?
今日は天気がええからいいわ。いってらっしゃい。」
11:30 城山登山口
城山登山口に着きました。
ここからは、ずっと登りです。
木の階段がしばらく続きます。
阿島山に比べると、よく整備されていてすごく歩きやすい道です。
気持ちいい道ですね。
この大きな岩が見えたら、もうすぐ頂上です。
11:50 城山山頂
城山山頂近くの東屋。
粟島は3つの島が砂州でつながっています。
左側がさきほど歩いた阿島山。右側は紫谷山。
細い砂州でつながっているのがお分かりいただけるでしょうか。
右下には、宿泊したルポール粟島が見えています。
あそこが山頂の展望台です。
標高222mです。
頂上には15人ほど人がいました。
結構人気な山なんだなあと思っていると、少し離れたところから一人の女性が近づいてきて、「写真をとってください」と言われました。
なんで周りの人じゃなくて私?と思っていると、
「じゃあ、みんな撮るよ!」と言って、私以外の全員が集合。
まさかの団体さんでした。
12:20 城山登山口
登山口に到着です。
阿島山・城山(じょうのやま)ハイキングの後は、「民宿ぎんなん」へ。
「民宿ぎんなん」は少し遠いので、レンタサイクルを借ります。
料金は「大口しま子」の口へ。
500円は安いですね。
牡蠣棚ですかね。
「民宿ぎんなん」でコースランチ
「民宿ぎんなん」に着きました。
https://www.instagram.com/ginnan.awashima/?igshid=1e6q0l4to5prv
「民宿ぎんなん」の受け入れは、一日一組だそうです。
コースランチをいただきます。
島でとれた食材をつかった料理を提供してくれます。
お花も食べられます。
「民宿ぎんなん」の前の海は航路になっていて、しょっちゅう船が通ります。
牡蠣は粟島でとれるそうです。
身がぷるぷるでめっちゃおいしい。
左下は、島の郷土料理の「茶粥」。
茶の実は島に自生しているものを使っているそうです。
食事が終わった後は、島に関する手作りの絵本を見せてくれて、色々島の話をしてくださいました。
この島の主な産業は漁業で、それ以外だと船乗りさんも多いとのこと。
船で世界中を回って帰ってきた人が何人もいるそうです。
民宿ぎんなんの前に広がるビーチ。
おいしい料理ごちそうさまでした。
「ぶいぶいガーデン」
「ブイ」とは、漁業に使う「浮き」のことだそうです。
使われなくなったブイを利用して創られたアート作品が並ぶのが「ぶいぶいガーデン」。
展示されているのは、個人のお宅の庭先です。
家の方がいらっしゃったので、ひと声お声がけして、見させていただきました。
1つ1つ顔の表情が違って、丁寧につくられています。
こんなキャラクターものもあります。
粟島芸術家村に向かう途中にあったお地蔵様。
島のお地蔵様はきれいな花がかざられていることが多いです。
海岸にこんな鳥居が建っていました。
これは「馬城八幡(まきはちまん)神社の鳥居」。
この鳥居の反対側には神社があります。
鳥居が海辺に立つ理由として、海水で身を清めてから神社に入るため、という説もあるそうです。
のどかです。
粟島芸術家村(粟島中学校)
「民宿ぎんなん」のオーナーの方に、「この後どこ行くの?」と聞かれたので、
「粟島芸術家村」を見たいんです、と言うと、
「もしかしたら空いてないかもしれないから、管理人さんに連絡してあげる」と言って、管理人の方に連絡をとってくださいました。
自転車で向かうと、管理人の方が待ってくださっていました。
そして、粟島芸術家村を丁寧に説明してくださいました。
この粟島芸術家村は、瀬戸内国際芸術祭のアート作品が展示される舞台です。
もともとは粟島中学校でしたが、今は廃校になっているようです。
木造の校舎はあたたかみがあります。
2018年に粟島芸術家村に作品を展示したのは、「大小島 真木さん」と「マユール・ワィエダさん」。
大小島さんは、刺繍などで大きなクジラの作品を創っています。
海洋調査船タラ号のプロジェクトに参加した大小島さんは、行けども行けども地平線しか見えない広い海で、白い塊をみつけたそうです。
それはクジラの死骸でした。
仰向けになった状態で鳥がついばむ様子をみて、命の循環を感じたそうです。
作品例はこちら。
https://www.city.mitoyo.lg.jp/div/gyoukaku/pdf/air/air2018fb.pdf
刺繍は、島の人々が共同で制作し、夜遅くまでやることもあるそうです。
マユールさんは、インドの少数民族の出身で、その部族に伝わる伝統的な技法で絵を描きます。
放牧した牛のフンを使って、紙を染色します。
もちろん茶色ですが、草だけ食べた牛のフンを使うと、不思議とにおいはしません。
その紙の上に米粉を溶いたものを竹を使って描いていきます。
すごく緻密な絵で、細かい線で出来上がっています。
マユールさん、粟島に来たときには日本語が話せませんでしたが、数カ月後にはある程度、日常会話を交わせるようになっていたとか。
島の人たちが、この木造校舎に集まって、芸術家の人と協力して作品を作り上げているところを想像すると、なんか楽しそうですよね。
島の人がいきいきと作品作りに携わり、島外から人が来るようになり、経済が回る。
そういう意味では、瀬戸内国際芸術祭は、島おこしとしてすごく重要なのではないかと思います。
粟島海洋記念館(国立海員養成学校)
次に訪れたのが、「粟島海洋記念館(国立海員養成学校)」。
粟島は古くから船乗りの多い島で、日本初の国立海員養成学校が建てられたのも、この島です。
「1897(明治30)年に建てられた日本で最初の国立海員養成学校の旧校舎を利用した記念館で、国の登録有形文化財に指定されています。木造2階建ての近代洋風建築は、島のシンボルとしてノスタルジックな佇まいを見せてくれます。館内には、海員学校に関する歴史資料や昔の船舶の模型などを展示しています。」
粟島|香川の島旅に出かけよう!|島旅|香川県観光協会公式サイト - うどん県旅ネット
2階の大広間。
国立海員養成学校の船員の旅の様子が細かく展示されています。
船で世界中を回っていたようです。
船上では、輪投げや豆つかみ競争をして遊ぶ様子などが写真に収められています。
中には、船上にプールがついている船までありました。
昭和62年に廃校となっていますが、その後もきれいな保存状態を保っています。
瀬戸内海底探査船美術館プロジェクト
粟島海洋記念館の一角にある「瀬戸内海底探査船美術館プロジェクト」。
これも瀬戸内国際芸術祭の一部で、海底から引き揚げられたものが展示されています。
サメのあごでしょうか。
サンゴかな。
漂流郵便局
「届け先のわからない手紙を受け付けてくれるアートプロジェクト。過去/現在/未来/もの/こと/ひと、何宛でも受け付けてくれます。毎月第2・第4土曜日に定期開局します。ここに出された手紙は、局内を漂うブリキの箱に納められると、砂浜のボトルメールのように局内を漂い、来局者はそれを自由に拾い上げて読むことができます。」
粟島|香川の島旅に出かけよう!|島旅|香川県観光協会公式サイト - うどん県旅ネット
こちらも瀬戸内国際芸術祭の作品のひとつです。
旧粟島郵便局舎が利用されています。
手紙を出すこともできるし、自由に読むこともできます。
また、手紙が自分宛てであると感じた場合は、その手紙を持ち帰ることもできるそう。
おもしろいプロジェクトですね。
漂流郵便局の本も出ています。
私が行ったのは日曜日だったので、閉まっていました。
残念。
開いているのは、毎月第2・第4土曜日ですので、日時を確かめていくことをおすすめします。
船の時間まで、粟島をふらふら歩きます。
これ、通称「ふみやベンチ」。
藤井フミヤが寝そべったベンチです。
「島のコンビニ たけうち」。
そうこうしているうちに、すっかり日が暮れました。
香川県粟島まとめ
香川県粟島。
島の人たちは、何にもない島だと言っていたけれど、島外の私から見れば面白いものがたくさんありました。
たくさんの人が押し寄せるような観光地ではなかったけど、その分、島の人ひとりひとりとたくさん話することができて、それも新鮮でした。
そして、なんといっても「民宿ぎんなん」のコースランチ。
これを食べるためだけに粟島を訪れるのもありだと思います。