ウルトラライトハイキングを実践するために、今回は「スリーピングマット」を見直しました。
- スリーピングマットとは?
- スリーピングマットはそもそも必要か?
- 今使っているスリーピングマットの機能は?どのくらいの重さ?
- ウルトラライトなスリーピングマットに求める条件
- 選んだのは…「Therm-a-Rest(サーマレスト)/ネオエアーウーバーライト」
- まとめ
スリーピングマットとは?
テントを張るときには、通常は図のようにシートやマットを敷いていきます。
まずは地面の上に「グランドシート」を敷き、その上にテントを立てます。
テントの中は「インナーマット」を敷き、その上に「スリーピングマット」を置き、寝袋に入るという形が一般的だと思います。
それぞれの役割についてはこちらの記事を参考にしてください。
スリーピングマットと寝袋は、よく布団に例えられます。
スリーピングマットが「敷布団」で、寝袋が「掛け布団」です。
スリーピングマットの役割は、「地面からの冷気の遮断」と「背面のクッション」です。
背中側の冷気を遮断し、背面にクッション性を持たせることで、より快適な睡眠を得ることができます。
では、そのスリーピングマットにはどのような種類があるのでしょうか。
スリーピングマットは大きく3種類に分けられます。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
エア注入式 | 内部は空洞で、空気を吹き入れて膨張させるタイプ | 使用素材が少ないため、比較的軽い | 内部の空気量が多く、マット自体が温まりにくい |
自動膨張式 | スポンジなどの柔らかいフォーム材を適度に内部に入れつつ、 さらに少量の空気を注入するタイプ |
大部分の空気が自動的に入るので、使用が簡単 空気が抜けても最低限度のクッション性を保つ 各種タイプが揃い、様々な種類から選べる |
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クローズド・セル | 弾力性が強いウレタンなどの発泡素材を使ったロールマット | 冷却されやすい空気を使わず、保温性が高い 作りが簡単なので、値段は比較的安価 |
圧縮して小さくできず、かさばってしまう |
参照:高橋庄太郎, 『山道具 選び方、使い方』, 株式会社枻(えい)出版社, 2013年. p68-p.69
スリーピングマットはそもそも必要か?
では、「敷き布団」であるスリーピングマットは、そもそも必要でしょうか?
省略したり、他のものに変えたりすることはできるのでしょうか?
原則的には「必要」だと思います。
スリーピングマットの役割は、「地面からの冷気の遮断」と「背面のクッション」です。
「地面からの冷気の遮断」がうまくいかないと体温低下を招き、生命の危機につながるからです。
ただ、「インナーマット」と「寝袋」がある程度の性能をもっているのであれば、スリーピングマットを簡素なものに変えるのは可能かもしれません。
私の場合は、「インナーマット」と「寝袋」は、比較的薄くクッション性もそれほど高くないタイプを選んでいるので、スリーピングマットは一定の厚みと保温性が欲しいところです。
今使っているスリーピングマットの機能は?どのくらいの重さ?
今使っているスリーピングマットは、Therm-a-Rest(サーマレスト)の「プロライト」。
この「プロライト」は2013年に購入したもので、現行モデルではなく古いモデルになります(下記の情報は現行モデルについてです)。
「自動膨張式マットレスの中で、最も軽量でコンパクトなモデルです。空気を均一に含み、軽量でコンパクトに収納できるアトモスフォームを使用した3シーズン用。
カラー ポピー
サイズ 51×119cm
重量 350g
材質 50Dミニヘックスポリエステル
厚さ 2.5cm
収納サイズ(長さ×直径) 28×8cm
R値 2.4
生産国 Made in USA」
プロライト | 株式会社モチヅキ
テント泊を始めたときに、「重さやクッション性、コンパクトさなどを考えたときに非常にバランスがいい商品」としてお店の人にすすめられて購入しました。
Therm-a-Rest(サーマレスト)の「プロライト」は、スタンダードな商品なので使用されている方も多いと思います。
実際に使ってみると、クッション性は十分だし、クローズド・セルと比べるとかなりコンパクトに収まります。
また、保温性もあって背中から冷気を感じるようなことはありませんでした。
120cmほどの短いタイプですが、枕を使ったり足元に着替えなどを置いたりすれば、なんとか全身をカバーできます。
店員さんが言っていた通り、非常にバランスがよい商品で、これからも大切に使っていきたいと思います。
ただ、ウルトラライトハイキングを考えたときに「プロライト」は最適解なのかという疑問はありました。
スリーピングマットに求める条件を見直して、もう少し軽量化できないかということで、他のスリーピングマットを探すことにしました。
ウルトラライトなスリーピングマットに求める条件
それでは、ウルトラライトハイキングにあうスリーピングマットとはどんなものでしょうか。
スリーピングマットに求める条件を挙げてみました。
△300g以下
△「エア注入式」または「自動膨張式」
△R値は「2~3」
△寝心地がよい
300g以下
現在使用している「プロライト」は実測値で324g。
これよりは軽いものを選びたいので、とりあえず300g以下とします。
「エア注入式」または「自動膨張式」
ウルトラライトハイキングを実践するうえで、「軽さ」だけでなく「コンパクトさ」も重視しています。
重さだけみると、クローズド・セルは軽量なものが多いのですが、いかんせんクローズド・セルはかさばるのです。
そのため、クローズド・セルはザックに外付けするケースが多いと思うのですが、安全面考えると外付けすることはなるべく避けたいところです。
なので「エア注入式」または「自動膨張式」にしぼります。
R値は「2~3」
スリーピングマットには、「R値」という数値がよく示されています。
R値は熱抵抗の尺度で、R値が高いほど保温性が高くなります。
私の場合は、3シーズンの低山が多いので、それに対応できる保温性があればいいということになります。
サーマレストのホームページに、使用するシーズンとそれに対応するR値の目安が示されています。
What is R-Value? - Therm-a-Rest Blog
これによると、3シーズンで使用できるスリーピングマットのR値は「2~4」。
現在使用している「プロライト」のR値が「2.4」なので、R値は「2~3」に設定しておきます。
寝心地がよい
「寝心地がよい」というのは、大前提です。
どんなに軽量コンパクトで機能が高くても、寝心地が悪ければ、快眠の道は遠のいてしまいます。
ただ、近くに販売店があまりないので、実際の寝心地を確かめるのは少し難しい。
これはネットのレビューを参考にするしかなさそうです。
選んだのは…「Therm-a-Rest(サーマレスト)/ネオエアーウーバーライト」
色々探してみたのですが、300g以下の「エア注入式」または「自動膨張式」が中々見つかりません。
そんな折に、雑誌で見かけたのが、Therm-a-Rest(サーマレスト)の「ネオエアーウーバーライト」でした。
エア注入式タイプなのですが、注目すべきはその軽さ。
スモールサイズなら、わずか170gしかありません(下記の情報はスモールサイズ)
「アルピニストからスルーハイカーまで待望の最軽量エアーマットレスです。ネオエアーウーバーライトは、ラージサイズでも340g。スモールサイズなら、わずか170gと超軽量です。収納サイズもこれまでのネオエアーのどのモデルよりもコンパクト。安定した面をつくり、効果的に断熱するトライアンギュラーコアマトリックスを採用し、快適性も妥協していません。
カラー オリオン
サイズ 51×119cm
重量 170g
材質 15Dナイロン
厚さ 6.4cm
収納サイズ(長さ×直径) 15×8cm
R値 2.3
生産国 Made in USA」
ネオエアーウーバーライト | 株式会社モチヅキ
エアー注入式で200gを切るというのがいかにすごいことか。
ハイカーズデポさんのホームページで詳しく説明されているので、そちらを紹介します。
Hiker's Depot|ハイカーズデポ » NeoAir®︎UBERLITE small
以下の3条件はクリアしています。
△300g以下
△「エア注入式」または「自動膨張式」
△R値は「2~3」
あとは「寝心地がよい」かどうか。
ネットでのレビューや雑誌の記事をいくつか読んでみましたが、寝心地についてネガティブな記載はそれほど見受けられませんでした。
本来は購入前に寝心地を確かめたいところでしたが、ちょっと難しそうだったので、思い切って買うことに決めました。
そして、もう一つお伝えしなければいけないことが。
実はTherm-a-Rest(サーマレスト)の「ネオエアー ミニポンプ」も合わせて買ってしまいました(エアーマットを膨らませるためのポンプで、電池を合わせて65.2g)。
「おい、せっかく200g以下のマット選んだのに、そんなもんで重さ増やしたら意味ねえじゃねえかよ。」
ご指摘の声ごもっともです。
しかし、自力で息吹きこんでマット膨らませたら頭くらくらして、しばらくぐったりしちゃう、なんともひ弱なハイカーなのです。
どうぞお許しください。
まとめ
今回のスリーピングマットの購入で、どれくらい軽量化ができたでしょうか。
今まで使っていた「プロライト」」の重さが「324g」。
「ネオエアーウーバーライト」の重さが「235g」(ミニポンプ込み)。
「324g」-「235g」=「89g」
ということで、「89g」の軽量化に成功しました。
もしミニポンプがなければ、「154g」の軽量化です。
しかし、値段の割には、それほど軽量化できなかったかも…。


逆に言えば「プロライト」がウルトラライトハイキングのギアとしても、十分優秀だと言えます。
「ネオエアーウーバーライト」についても、実際にフィールドで使用したので、使い勝手を後日報告します。