今回、島ハイキングでやってきたのは「女木島(めぎじま)」です。
女木島とは
今回訪れた女木島は、香川県高松市の沖合いに浮かぶ島で、高松港からわずか20分で着きます。
「高松市の北約4kmに浮かぶ女木島は、高松港からフェリーで約20分の位置にあります。島の中央部にある鷲ヶ峰山頂には「鬼ヶ島大洞窟」という巨大な洞窟があり、その昔、鬼が住んでいたと伝えられていることから、別名「鬼ヶ島」とも呼ばれています。また、春には島内に植えられた約3,000本もの桜が花を咲かせ、島全体がピンク色に染まります。」
【香川県高松市女木町】鬼ヶ島観光協会(公式ホームページ)
女木島は別名「鬼ヶ島」と呼ばれています。
女木島の中央の山頂に位置する洞窟に、かつて鬼が住んでいたため、その名前が付いたということなのですが、それがどうやら完全なおとぎ話でもないようなのです。
この大洞窟をめざして、女木島を一周ハイキングすることにしました。
松原キャンプ場でテント泊
女木島にやってきました。
さあ今回も写真をいっぱい撮るぞと気合を入れてカメラの電源を入れると、なんか様子がおかしい。
「No Card」という表示が出ています。
そのとき、パソコンにSDカードを挿しっぱなしで来たことに気付いてしまいました。
しまった。
まあ本体に保存して少しずつスマホに転送すればいいかと思っていると、なんとカメラ本体に写真を保存できないことが判明。
トホホ。
こうなったら、iPhone8のカメラのちからを見せつけるしかなさそうです。
まずは「鬼ヶ島おにの館」に立寄ります。
女木港からほど近い(歩いて3分くらい)のところに「鬼ヶ島松原キャンプ場」と呼ばれるキャンプ場があるのですが、そのキャンプ場を利用するときは、こちらで申請します。
一日大人200円。
2日間の利用なので合わせて400円を支払いました。
なんともリーズナブル。
ここが「鬼ヶ島松原キャンプ場」。
海岸近くの松の林のなかでテントを張ります。
シャワー、炊事場、トイレなどの一通りの設備はそろっており、バーベキューも可能とのこと。
左からシャワールーム、炊事場、トイレです。



シャワールームは1回の利用が100円なのですが、このときはカギがかかっていて使えませんでした。
管理人さんに頼めば利用させてくれるのかな。
なにはともあれ、目の前に砂浜が広がるこのロケーションは最高です。
初日は、この松原キャンプ場にテントを張り、男木島へ行ったのですが、数時間後に戻ってくるとなんだかテントの様子がおかしいのです。
フライのジッパーを開けてみると、中のテント本体が倒れています。
あれ。おかしいな。風もないのに。
テントを起こしてみると…
やってんねえ!
完全にやってんねえ!
この爪あと、絶対こいつらのだれかがやってんねえ!
松原キャンプ場にはたくさんのネコがいます。
中には食べ物を置かないようにしていたのですが、カロリーメイトのような乾物をいくつか置いていったので、それを狙ったのかもしれません。
このニーモのテントは使用2回目だったのに…。
トホホ。
しばらくテント内でふて寝していましたが、気を取り直して夕ご飯にします。
今日は久しぶりに「solo stove(ソロストーブ)」を使って炊事をします。
松の葉や枝、松ぼっくりは本当によく燃えます。
あっという間に湯が沸きました。
ガスストーブは便利なのですが、ソロストーブはキャンプしている感じがして楽しいです。
しっかり火の始末をして片付けます。
夜、寝袋にくるまってぼーっとしていると、フライをくぐってきたネコが顔のすぐ横に。
お互い飛び上がって悲鳴を上げます。
動きはほぼトムとジェリーでした。
外が明るくなってきたので、テントから出てみるとちょうど日が上がってきたところでした。
女木島ハイキングの概要
<天気>晴れ
<距離>10.4km
<行程>
08:30 松原キャンプ場
09:10 女木島野営場
10:50 鬼ヶ島大洞窟
11:20 鷲ヶ峰山頂
12:20 日蓮聖人銅像
12:40 タカト山山頂
13:40 女木港
13:50 松原キャンプ場
鷲ヶ峰山頂付近看板より
女木島ハイキングの詳細
松原キャンプ場
08:30 松原キャンプ場
テントを撤収して、いざハイキングへ出発です。
ハマダイコンの花がたくさん咲いています。
「ハマダイコン(浜大根)は栽培していたダイコンが野生化したと考えられていましたが遺伝子レベルでの研究の結果、栽培種のダイコンとは別物で古い時代からもともとある野生ダイコンが中国大陸から人を経由して入ってきたものとされています。」
ハマダイコン(浜大根)の特徴と食べ方!食べられる野草ってホント?| BOTANICA
学生時代に一度、生えているハマダイコンを持って帰って食べたことがあるのですが、確かに大根の味なのですが、普通の大根より辛いです。
気持ちのよい海岸線を歩きます。
女木島・男木島を行き来する船が見えます。
女木島野営場
09:10 女木島野営場
女木島野営場の看板が見えてきました。
女木島野営場につきました。
結構広々としていて、中央にファイヤーサークルがあります。
左から炊事場、水場、トイレ。
シャワーはありません。



こちらも一通りの設備がそろっているので、ネコが苦手な人はこちらのキャンプ場の方がいいかもしれませんね。
女木島野営場を後にします。
畑の跡地でしょうか。
「俵石(たわらいし)」と呼ばれる石です。
「字中戸の山の中腹にある周囲約10mの俵状の巨石。この辺りを通ると、糸を紡ぐような音や琴を弾く音がどこからともなく聞こえてくるといわれています。いつの頃からか、この石にはお姫様の霊が宿っているといわれ、琴姫大明神として祀られています。」
鬼ヶ島 女木島 おにの館 公式ホームページ on Strikingly
池ではたくさんのカメが日向ぼっこをしていて、のぞきこむとみんな一斉に水の中に飛び込んでしまいました。
水中からこちらの様子をうかがっています。
ここから自然道に入りました。
「鬼が来た道」と呼ばれる自然道があるのですが、よく道が分かりませんでした。
大洞窟より北側のエリアはほとんど整備されていないので、山道に入らないほうがよいです。
森の奥には石垣がありました。
昔の人々はこのあたりのエリアも何かに利用していたようです。
草をかき分けて、なんとか車道へ。
鬼ヶ島大洞窟
10:50 鬼ヶ島大洞窟
鬼ヶ島大洞窟に到着しました。
さっそく大きな鬼の像が出迎えてくれます。
こちらが入り口。さっそく中に入ってみます。
入り口はかなり狭いのでかがんで入ります。
しかし、中はかなり広いです。
その広さは4000m2とも言われていて一般家庭の40軒分にもなります。
また奥行は400mもあります。
さて、この大洞窟、じつは自然にできたものではなく、人の手によって掘り進められたものであることが分かっています。
しかも、造られた時代は最大さかのぼって2000年前と考えられています。
洞窟は、古代中国の要塞に似せて構築されており、玄関口から中央にかけては防御しやすい構造に、中央から出口にかけては逃げやすい構造になっているようです。
この洞窟は、約100年前の1914年(大正3年)に、男木島の小学校教師・橋本仙太郎先生によって発見されました。
橋本先生は、この女木島の洞窟と桃太郎伝説を結び付け、それ以来この女木島は「鬼ヶ島」と呼ばれることになります。
桃太郎伝説は、完全な昔の作り話と思っていたのですが、どうやらそうではないようなのです。
「1200年ほど前に、讃岐の国の国司として在任4年菅原道真公が脚色したとされるのが『桃太郎伝説鬼退治の物語』。
(中略)
この物語によると、桃太郎は吉備津彦命(キビツヒコノミコト)の弟、稚武彦命(ワケタケヒコノミコト)がモデルで、吉備の国から讃岐の国に来た時、土地の住人が鬼(海賊)の出没で苦しんでいるのを知り、イヌ、サル、キジを率いて鬼を征伐しました。
犬は備前(岡山県)の犬島出身の家来。サルは高松の南、綾川町陶の猿王出身の家来。キジは高松の西、鬼無(キナシ)町の雉ヶ谷出身の家来と言われています。」
鬼ヶ島大洞窟パンフレットより
つまり、鬼と呼ばれていたのは当時の海賊で、それを征伐した話がモデルになっているということです。
しかし、実際は、発掘調査はそれほど進んでおらず、未だにこの洞窟は多くの謎に包まれています。
「しかし昭和6年から今日まで相当の年月も経ち、さらに多くの人の目に触れていたはずにも 関わらずこの洞窟が、何時、誰が、何の目的、どの様な手法で作ったのかは未だに謎のままだ というのも大変不思議なことである。」
https://kiui.jp/pc/bunkazai/kiyo10/01_usui_pp1_28.pdf
ここは「佛間」とよばれる場所です。
洞窟内から発見された数少ない古代遺物のひとつで作られた年代も不明。
天井にはノミで掘り進められた跡がしっかり残っています。
洞窟出る前に仲良うなってどうする。
途中から左の赤いやつが剛田武にしか見えなくなってきました。
ようやく外へ。
出口を見上げると、りっぱな柱状節理が。
鷲ヶ峰山頂を目指します。
昨日ハイキングした男木島が見えます。
こうして見ると、きれいな円錐のかたちをしていますね。
スイセンと桜が同時に咲いています。
冬から春への変わり目です。


鷲ヶ峰山頂
11:20 鷲ヶ峰山頂
ここが鷲ヶ峰山頂。
展望デッキがあって、360度見渡すことができます。
ここから南のタカト山へ縦走します。
展望デッキで少し休憩。
ハイキングのときのカップラーメンはなぜか美味しい。
お腹いっぱいになったので、しばらくグダグダします。
鷲ヶ峰を一度下ります。
これが「女木丸山古墳」。
「古くから平家の塚としての伝承があったが、昭和39年(1964)の発掘調査により、古墳時代中期後半(五世紀後半)頃の盛土円墳であることが確認された。
(中略)
耳飾については、朝鮮半島からの舶載品であり、当古墳の被葬者が海上交通を掌握していたことがうかがえる。」
高松市教育委員会 看板より
このあたりを歩いていると、小さな看板があって、ふと目をやると「世界最小のメロン」の文字が。
なんでも女木島にしか自生していない原生種メロンがあって、それが世界最小のメロンなのだそうです。
学名は「G16」でMGは女木島(MeGijima)にちなんでいるそうです。
世界最小のメロンを一目みたいと思って探してみたのですが、見当たりませんでした。
洞窟といい、世界最小のメロンといい、女木島は本当に不思議な島です。
日蓮聖人銅像
この日蓮聖人の像は、昭和12年に京都から移されたものだそうです。
かなり大きいので結構遠くからでも見つけることができます。
ここからが「鬼ヶ島スカイラインハイキングコース」。
ゆるやかな尾根をテンポよく歩けるこのコースは、最高に気持ちいいです。
こんな感じでとことどころ海を眺めながら歩くことができます。
タカト山山頂
12:40 タカト山山頂
たった216mの高さですが、眼下に海がパァーっと広がるのでとても高度感があります。
海の上を歩いているような変な感覚です。
「岬の白灯台」。
舗装路に出ました。
島にあるお地蔵様は、こんな風にきれいに飾られていることが多いです。
こういうのを見ると、島には時間と気持ちにゆとりがあるんだなあと感じて、ほっこりします。
女木港
13:40 女木港
女木港が見えてきました。
この石垣は「オーテ」と呼ばれています。
冬になると、女木島では「オトシ」と呼ばれる強風が発生するため、その強風から家々を守るためにオーテが築かれてきました。
女木港周辺にはなぜかモアイ像が。
イースター島ではいくつものモアイ像が倒れた状態でしたが、それを立て直すため、テスト用で作られたのがこのモアイだそうです。
そのほかにアート作品ちらほら。


かわいい壁画も。
松原キャンプ場
13:50 松原キャンプ場
松原キャンプ場に着きました。
これでやっと一周です。
結構歩いたので、「女木島ゲストハウス&カフェMegino」で一休み。
ジンジャーエールを飲みながら、帰りにフェリーを待ちます。
フェリーが迎えにきました。
女木島良い旅でした。
まとめ
今回は、男木島と女木島を続けて船で回りました。
男木島でハイキングをした後に、女木島でテント泊。
翌日に女木島のハイキングをしました。
男木島ハイキングの様子はこちらです。
女木島と言えばやっぱり、鬼ヶ島大洞窟です。
あんな大きな洞窟を一体だれが何の目的で掘り出したのか。
本当に鬼とよばれた海賊たちのすみかだったのか。
ミステリーにあふれる空間で、古代の人々の営みを考えながら歩くだけで楽しい場所でした。
松原キャンプ場は、目の前に砂浜が広がる最高のロケーションですが、いたずら好きなネコたちにはご注意を。