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大杉谷渓谷② 堂倉滝に癒され、日出ヶ岳から大台ケ原へ抜ける

日本三大渓谷のひとつである「大杉谷(三重県)」を歩きました。
三重県側の登山口から入り、日出ヶ岳・大台ケ原へ抜けるコースを歩きました。

 

1日目は、美しく険しい秘境を進むと、絶景の「シシ淵」に出会いました。
そして「桃の木山の家」では、あたたかいごはんをいただき、ヒノキ風呂で汗を流しました。
そのときの記事はこちらです。

www.gojikitakubu.com

 

この記事では、2日目の様子を紹介します。
2日目は、桃の木山の家を出発し、堂倉滝を通って、日出ヶ岳・大台ケ原を目指します。

 

 

 

大杉谷登山2日目の詳細

桃の木山の家

07月15日(日)
06:10 桃の木山の家
桃の木山の家は布団もふかふかで、シーツも清潔だったので快適に眠れました。
大部屋だったので音が気になるかもと思ったのですが、いびきをかく人もいませんでした。
私がかいていた可能性はありますが。

 

お礼を言って出発です。
この日も天気がよく気持ちのよい朝です。

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上流に行くにつれて、少しずつ川幅がせまくなり、岩も大きくなってきた気がします。

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大杉谷を流れる川は「宮川」と呼ばれていて、この宮川は伊勢湾に流れ込んでいます。
大杉谷は安土桃山時代から江戸時代の間に計7回、伊勢神宮遷宮のために木材が切り出されています。
増水期に川の流れを利用して、木材を伊勢神宮に運び出されたといいます。
大杉谷は、伊勢神宮ともゆかりの深い森だったんですね。

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今日も相変わらず、難所が続きます。

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何色と表現したらいいのでしょう。
こんな深い水の色をみたのは初めてです。

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七ツ釜滝です。
「日本の滝100選」にも選ばれている名滝です。

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滝つぼが7つあって、7段になっているという意味なのでしょうか。

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七ツ釜滝吊橋を渡っていきます。

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川沿いには多くの生き物がいます。
でかいカエル。
のそのそ動くやつで、ずっと岩に登ろうとしてずり落ちているのがかわいいです。

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川の中にはたくさんの魚が泳いでいました。

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どんどん道が厳しくなっているような気がします。
水量が多い時期は要注意です。

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崩壊地

07:20 崩壊地

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大杉谷は、幾度となく豪雨災害に見舞われています。
この崩壊地は2004年に発生した台風の豪雨によって、山肌が崩壊し、できた場所です。
車よりもずっと大きい岩がいくつも積み重なっていて、それを乗り越えていきます。

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この2004年に発生した台風は壊滅的な被害をもたらして、それから大杉谷の登山道は閉鎖となっています。
それから10年経った2014年4月にようやく登山道が復旧するのです。

 

穏滝吊橋。
吊橋の左を流れているのが、隠滝です。

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与八郎滝。
登山道の木陰からひっそり眺める滝。
派手さはないけど、きれいな滝です。

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深い谷です。
水の浸食作用でできたそうです。
チャートと呼ばれる岩層は極めて固い層で、浸食するスピードが遅く、深い渓谷の姿を作り出すとのこと。

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なかなか気が抜けません。

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ちなみに、下はこんな感じ。
道幅は狭く、岩が突き出していて、しかも濡れているので滑ります。
左側は谷底なので、緊張感をもって歩を進みます。

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堂倉吊橋。

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日出ヶ岳まで、あと5km。

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堂倉滝

08:30 堂倉滝
堂倉滝吊橋です。

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堂倉滝。

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堂倉滝は、大杉谷の中で「シシ淵」と並ぶ名所です。
水量の多い滝が滝つぼに豪快に流れ込み、水のしぶきを全身で感じられます。

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大杉谷から最も奥にある最後の滝です。
大杉谷の険しくて美しい自然とここでお別れすると思うと、すこしさみしいです。
栄養補給をかねて、ゆっくりすごします。

 

ここからは尾根にあがり、大台ケ原をめざします。

 

しばらく進むと見えてきたのが、堂倉避難小屋。

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宿泊施設ではなく、あくまで緊急事態にのみ使用できるとのことです。
宿泊目的で利用する人が増えてしまい、ごみや排せつ物による自然環境への影響や衛生上の問題が発生してしまったとのことです。
すぐ近くに粟谷小屋があるので、そちらを利用するのがよさそうです。

 

ちなみにこのあたりのエリアでは、クマの目撃情報がよくあるそうです。
野生動物を近づけないためにも、ごみはきちんと持ち帰ります。

 

粟谷小屋

10:10 粟谷小屋

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定員70名の山小屋。
3日に分けて歩きたい人や、最終日に大台ケ原を散策したい人は、この粟谷小屋に泊まるのがいいかと思います。
桃の木山の家ではお風呂に入れたのですが、実はこちらの粟谷小屋でもお風呂があるのだそう。
小屋の脇には、水を引いているところがあって、冷たい水が常に流れています。

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まずは、トイレをお借りしました(協力金が100円くらいだったかな?)。
そして、外のベンチで桃の木山の家で作ってもらったお弁当を食べます。
日陰になっているところをさがして、ごろんと休憩。
休憩を終えると、再び歩きだします。

 

シャクナゲ

12:20 シャクナゲ

 

シャクナゲ平を少し超えた場所。

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短い草が芝生のようになっていて、とてもきれいなスポットです。

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大きくて立派な木です。
下をみると倒木が、階段の段差に合わせてけずられています。
倒木を移動させるより、削ったほうが早かったのかも。

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日出ヶ岳

12:40 日出ヶ岳
日出ヶ岳の山頂が見えてきました。

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日出ヶ岳の三角点。

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それにしてもなんだか、どんよりした天気です。
実はこの天気には理由があるのです。
ここ大台ケ原は日本でも屈指の豪雨地帯です。
黒潮にふれた湿気を多く含んだ気流が、急勾配の地形にぶつかって上昇気流ができ、多くの雨をもたらすのだそうです。
今にも雨が降り出しそうです。

 

白く朽ちた木。

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日出ヶ岳にはこのような木がたくさんあります。
中には立ったまま立ち枯れた木もあります。
このような光景が見られるようになったのは、比較的近代に入ってからと言われています。
はっきりとした理由は分からないものの、いくつかの要因が複合的に重なって起こったと考えられています。

 

伊勢湾台風などの大型台風によってたくさんの樹木が倒れ、それらを搬出したことがきっかけとなり、林床が乾燥化してコケ類が大幅に減少しました。代わってミヤコザサが林床を覆うようになり、樹木の発芽・生育条件が悪化しました。
・ササを主食とするニホンジカが増加し、後継樹が食べられたり、成木の樹皮がはがされるようになりました。周辺地域でも、森林の伐採によって下層植生が一時的に増加し、それらをエサとするシカの増加につながりました。
大台ケ原ビジターセンターより

 

ここでのお弁当は絶対においしい。

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トンボがたくさん飛んでいました。

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大台ケ原ビジターセンターに向けて下っていきます。

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ここからは整備された広い道で歩きやすいです。
緑がきれいで本当に気持ちのよい道です。

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大台ケ原ビジターセンター

13:40 大台ケ原ビジターセンター
ようやくゴールです!

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ここからは、奈良交通のバスを使って上市駅まで行きました。

 

電車の時間が迫っているのですが、猛烈にお腹が空いてきました。
スマホでコンビニを探しましたが、歩いていくには少し遠い。
どうしようかと思ってあたりを見渡すと、観光協会があったので入ってみることにしました。
「このあたりでパンとか買える売店ないですか?」と聞くと、
「向かいに食堂があるから、お寿司握ってもらえるか聞いてみる。」と言ってくださったのです。
電車まで残り時間はあと5分くらいだったので、
「電車の時間があと少しなので、大丈夫です。どうもありがとうございます。」と言って出ようとすると、
「たぶんいけるから待ってて。」とその食堂にかけこんで、事情を説明してくださいました。
食堂は昔ながらの昭和の雰囲気が残るお店です。
お店の大将が「2分あったら大丈夫!」と急いで作ってくれて、お寿司をもたせてくれました。
もう一度、観光協会にお礼を言いに入ると「いいからいいから。急いで!」と笑顔で見送ってくれました。
最後に、奈良の人々のやさしさに触れた旅になりました。

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ひかり食堂
 大和上市駅前 ひかり食堂 | 大淀町・梨花のブログ

 

まとめ

今回は、日本三大渓谷のひとつ、大杉谷(三重県)を歩きました。
多くの登山道は通常尾根沿いにつくられることが多いのですが、この大杉谷登山歩道は、宮川という川沿いをずっと登っていくコースでした。
途中7つの滝と11の吊橋をわたって、ようやく大台ケ原へ抜けることができました。
一番印象的だった場所は、「シシ淵」です。
深い渓谷に光が差し込んでいて、その奥に滝が流れている姿は、息をのむ美しさがありました。
そして、もう一つは森の中に突然あらわれる「桃の木山の家」。
あたたかいごはんとヒノキのお風呂で、疲れも完全に癒されました。
大杉谷は深い渓谷で、難所や危険な箇所も多いですが、一方で「シシ淵」のような絶景もみせてくれる、日本の数少ない秘境だと思います。