この日は、礼文島の最終日。
前日までハイキングを楽しんだので、この日はバスに乗って礼文島をぶらぶら観光しようと思います。
訪れたのは「礼文町郷土資料館」と「メノウ浜・地蔵岩」。
そして、一度は見たかったユースホステル「桃岩荘」を訪れました。
もともと礼文島を訪れようと思ったのは、実はこの「桃岩荘」の写真をみたのがきっかけだったのです。
山に囲まれた海浜に、ぽつんと建った赤い屋根の家。
その光景がとても同じ日本のものと思えないくらいインパクトがありました。
今日は、それをじっくり見たいと思います。
礼文町郷土資料館
私は島に訪れたときは、だいたい郷土資料館に立ち寄ります。
資料館で歴史を知ったうえで、島をめぐると理解がぐんと高まるし、名所に立ち寄ったときも感動が高まります。
礼文町郷土資料館で学んだことを、一部紹介しましょう。
- 礼文島の人口は約2600人。
- 礼文島には陸に棲む哺乳類がごく限られているが、海に棲むトドやアザラシはほぼ一年を通して確認される。
- 礼文島は縄文文化の北限に位置する。
- 礼文島にある船泊遺跡では、28体以上の縄文人の人骨が見つかっている。縄文人として一般的な体つきで、身長は女性が約149cm、男性が約159cm。男性は筋肉が発達していて、重労働を行っていた様子がうかがえ、多くの女性では何回も出産した痕跡があった。12体の子どものうち多くは乳幼児で、特に新生児の死亡率が高かった。
こちらは、日本で初めてDNA情報に基づいて作成された古代人の復元像です。
船泊遺跡からみつかった、3800年前の女性の人骨の歯からDNAを抽出し、そこからDNA情報を読み取り、様々な特徴を明らかにしました。
例えば、次のような特徴がDNAから明らかになっています。
- 性別:女性
- 血液型:A型
- 髪:巻き毛
- 目の色:茶色
- 耳あか:湿っている
- 肌:シミが多い
他にも両親が近い血縁関係にあったことや、脂肪代謝に関する遺伝子情報から北極圏に暮らす集団の子孫であることも分かっています。
道北地方に限って時代区分をいうと、「縄文時代」→「続縄文時代」→「オホーツク文化」→「擦文時代」→「アイヌ文化」と続きます。
オホーツク文化という聞きなれない文化がありますが、これはサハリン南部から北海道北端からオホーツク海沿いに広まった文化です。
本州では古墳時代から平安時代初期と同時期になります。
これはオホーツク文化のもので、動物の歯牙でつくられた彫り物です。
アイヌの太刀。
日本は場所によって、複数の文化が同時に存在していて、各地からいろんな人々が移り住み、文化をもたらしていたことがよく分かります。
メノウ浜・地蔵岩
バスに乗って、島の西側に移動します。
まず着いたのがメノウ浜。
昔は、メノウという石がよく出た浜だったみたいですね。
今でも見つけることはできるのでしょうか。
次に地蔵岩。
昔は近くまで行けたそうなのですが、今は立ち入り禁止。
高さ50mほどの巨石が向かいあって、垂直に立っています。
どうやってこんな形になったのでしょうか。
それでは、桃岩荘を眺めることができる「桃台猫台展望台」へ歩いて向かいます。
ウミネコ近寄っても、あまり逃げません。
おじさまが自転車で通過しても微動だにせず。
桃岩が見えてきました。
よく見ると、放射状にできた柱状節理があります。
マグマでできた岩というのがよく分かります。
桃岩荘までもう少し。
振り返るとこんな感じです。
桃岩荘を近くで見たかったのですが、入れるのはここまで。
「桃台猫台展望台」から眺める桃岩荘と猫岩
近くの「桃台猫台展望台」に登ります。
私が見たかったのはこの光景です!
本当にすごい場所にありますね。
かつて実際に使用されていたにしん小屋を改造したもので、1870年頃に建てられたそうです。
右端にポツンと映っているのが、猫岩。
そういわれれば、猫が背を丸めて海の方を向いているようにも見えます。
この桃岩荘、ユースホテル好きには結構有名だそうです。
変わったルールがいくつもあって、それを体験するために宿泊する人も多いとのこと。
反対側はこんな感じです。
桃岩がきれいに見えます。
そろそろフェリーの時間なので、フェリーターミナルへと向かいます。
途中、姿をみせた利尻山。
やっと全貌を見せてくれました。
香深フェリーターミナルでのお見送りが個性的
フェリーターミナルの近くの町並みです。
フェリーターミナル。
その前にあるお土産屋さん。
ハートランドフェリーが到着しました。
このフェリーに乗り込みます。
大声で歌い踊りながら、お見送りをする人たち。
どうやら桃岩荘の方々みたいです。お見送りも個性的。
礼文島本当に楽しかった!
奥尻島へ向かうため函館へ
稚内港に着きました。
稚内空港に向かいたかったのですが、バスがない。
次のバスまでかなり待たなくちゃ…と思っていたら、女性2人に声をかけられます。
「空港ですか?タクシー乗るんで一緒にいきます?」
ラッキー!
空港についてお金を払おうとすると、
「大丈夫、大丈夫。稼いでるから。笑」と言って支払いをしてくださいました。
旅先では思わぬ優しさに触れることがよくあります。
稚内空港から札幌空港へ。
札幌からは電車へ乗り、函館へ移動します。
函館に着いた頃には、雨がしとしと降っていました。
北海道の夜は、雨がふると普通に寒い。
そして、翌日は、次の島「奥尻島」へ移動します。
礼文島まとめ
今回、訪れたのは「礼文島」で、4日間滞在しました。
1日目は礼文岳ハイキング、2日目と3日目は礼文島を端から端まで歩くロングトレイル、4日目は観光をしました。
1日目は礼文島の最高点・礼文岳(標高490m)に登りました。
残念ながら頂上は霧がかかって何も見えませんでしたが、霧深い森を歩くのも楽しかったです。
2日目と3日目は礼文島を端から端まで歩くロングトレイル。
礼文島の最北端のスコトン岬を出発し、「岬めぐりコース」と「8時間コース」、「礼文林道コース」、「桃岩展望台コース」を歩き、最南端の知床に到着しました。
透明度の高い海水でみたされたきれいな岬や、鬱蒼とした森、川沿いの崖、浜辺などバラエティーに富んだコースで、北海道以外ではなかなか見られない景色をいくつも見せてくれました。
そして、なんと言っても色とりどりの花々。
「花の浮島」と呼ばれるだけあって、コース上には多くの花が咲き乱れています。
4日目は、「桃台猫台展望台」から桃岩荘を眺めました。
一度訪れたかった場所で、異国に来たかような気分になれる光景でした。
今回は、ハイキングで訪れた礼文島。
「島×ロングトレイル」という、島の中で長い距離を歩く旅の構想を思いついたきっかけをもらえた島で、とても印象的な旅になりました。
次に訪れたときは、ウニやイクラなどを食べ歩くグルメな旅もいいかなと思います。