今、私はウルトラライトハイキングを実践するために、アイテム一つずつ見直しています。
今回は、「テント」について見直していきたいと思います。
テントは、装備全体の重量の中でも大きなウエイトを占めます。
ベースウェイト5kg以下を目指すウルトラライトハイキングでは、どのテントを選ぶかが大きなポイントとなります。
軽いテントに変えることで、ウルトラライトハイキングに大きく近づくことができます。
一方で、テントは身体を休める場所。
テント内でどれくらい快適に過ごせるかで、翌日のパフォーマンスが変わってきます。
ですので、軽さのみでは選べることはできません。
軽いのはもちろんのこと、快適に過ごせるウルトラライトハイキングにぴったりなテントを探していきます。
現在使用しているのは「モンベル ステラリッジテント2型(旧型)」
現在使用しているテントは「モンベル ステラリッジテント2型(旧型)」(2013年購入)です。
ステラリッジテント2型(旧型)の特徴は以下の通りです。
- 重量(実測値):1604g(ペグ、ポール、張り綱、収納袋を含む)※グラウンドシートは265g
- 短辺:130cm、長辺:210cm、全高:102cm、室内高:97cm
- ダブルウォール
- 生地の厚さはキャノピー、フロア、フライシートいずれも30デニール
- キャノピーは通気撥水加工、フロアとフライシートは耐水圧1500mm
「この商品は超軽量・コンパクトをテーマに開発されたオールシーズン用ドーム型テントです。耐風性や防水性という山岳テントに求められている基本的機能を独自の構造により高いレベルで実現しながら、同時に携行性についても極めて高い性能を誇ります。」
説明書より
さすがはモンベルを代表する商品ですね。
説明書の文章からモンベルの自信とプライドを垣間見ることできます。
実際、ステラリッジテントは全体的にバランスのとれたテントで、すごく優秀なテントだと思います。
7年目の今でも現役で活躍しています。
これは2019年5月に八丈島のキャンプ場でテント泊したときの写真です。
八丈島にキャンプしていたとき、暴風雨に見舞われた日がありました。
外は土砂降りで風もかなり強かったのですが、ステラリッジはびくともしなくて、安心して過ごすことができました。
(暴風雨が2日続くと聞いて、結局宿へ撤退しましたが…。)
ステラリッジをザッグにつめて、色んなところへ行きました。
このテントのおかげでハイキングの幅が広がり、日帰りハイキングでは到底見られなかった景色をたくさん見せてくれました。
本当に最高のテントです。
ただ、1つのことが少し気になってきたことがありました。
それは「重さ」です。
重量は、テントとグラウンドシートを合わせて、1869g。
体力のない私にとっては、少しだけ重いのです。
ステラリッジは私が初めて買ったテントで、そのころはどういうスタイルの登山をするのか定まっていませんでした。
色んな山行を試してみたかった私は、オールシーズン用で雪山や高山などの厳しい環境にも対応できるという理由で、ステラリッジを買いました。
その後、ロングトレイルにはまるようなり、雪山や高山などへ行く機会はほとんどなくなりました。
耐候性が少し下がったとしても、軽いテントがいいなあと思うようになったのです。
シェルターの種類
キャンプをする上で、「住」の役割をはたす道具はテントやツェルト、タープなど様々なものがあります。
これらは総称して「シェルター」とよばれています。
シェルターは元々、「悪天候や危険から身を守るための隠れ場所。避難所。」という意味です。(コトバンクより)
ここで、一度シェルターの分類について、まとめておきましょう。
シェルターは大きく「テント」「フロアレスシェルター」「タープ」「ビビィサック」に分けられます。
テント
「フロアと一体になったシェルターを「テント」とします。
(中略)
床付きの閉鎖空間をつくれるため、保温性が高く、外部の影響からハイカーを隔離できるという点に最大の特徴があります。悪天時や冬季には、この隔離性が大きな利点です。」
引用:※1
シェルターとして、テントを使う人が最も多いと思います。
他のシェルターと比較して、快適性は高いのですが、その分重量は重くなる傾向にあります。
しかし最近では、技術の進歩によって1000gを下回るモデルも出てきています。
テントはさらに4タイプに大きく分けることができます。
分別のポイントは「フライシートがあるかないか」、「自立するかしないか」です。
フライシートがあるものは、インナーテントとフライシートの2枚の壁があるので、「ダブルウォール」と呼ばれます。一方、フライシートがないテントは、壁が1枚なので「シングルウォール」と呼ばれます。
また、ポールなどを取り付けることにより自立するテントが「自立式」、ペグダウンなどによって固定しないと立たないものが「非自立式」です。
参考:※2
①自立式+ダブルウォール
②非自立式+ダブルウォール
③自立式+シングルウォール
④非自立式+シングルウォール
フロアレスシェルター
「床なしで設営し、かつ幕体の四方すべてが地面近くまでおおうモデルを『フロアレスシェルター』」とします。日本独自のシェルターであるツェルトは床をつくることもできますが、フロアレスに分類するのがよいでしょう。」
引用:※1
ツェルトはあくまでビバークをするときの緊急用と考えていました。
日帰り登山でテントを持ち歩くのは重すぎるので、もしものときのためにお守りとして持ち歩くものというイメージです。
しかし、最近ではキャンプ場でもちらほら見かけるようになりました。
ロングトレイルや沢登りでは、緊急用ではなく常用として利用されることも多いようです。
ファイントラックの「ツエルト2ロング」というツェルトは、フロアをつくることもできます。さらに透湿性も高く、居住スペースは広い仕様です。
そして、最大の特徴は軽量であること。
ツエルト2ロングはわずか340gで、この軽さはテントで到達できない領域です。
タープ
「屋根1枚のシェルター、それが『タープ』」です。部分的に壁をつくることも可能ですが、四方をおおえない点がフロアレスシェルターとの大きな違いです。」
引用:※1
張り方を工夫すれば、雨風を最低限防ぐことができるシェルターです。
屋根部分しかないため、なんと言っても軽いことが特徴です。
タープを張って、地面にシートなどを敷いて寝ます。
最近では、ハンモックと組み合わせて利用している人も多いようです。
最低限の雨風をしのぐことさえできればよいという環境では、強い味方となります。
ビビィサック
「寝袋のみをおおうので、かつ内部では寝ることしかできないタイプのシェルターが『ビビィサック』です。
(中略)
ビビィサックには、頭上の空間を確保するためにフレームを採用したモデルや、防水透湿素材を使用したモデルも多いことから、さほど軽くありません。」
引用:※1
ビビィサックをタープなどと併用しているのはたまにネット上で見かけます。
ゴロ寝に近い感覚を味わえるアイテムです。
しかし、生活空間はないため、タープと組み合わせるなどの工夫が必要です。
また、内部空間が狭いので結露しやすいという問題もあります。
シェルターは大きく「テント」「フロアレスシェルター」「タープ」「ビビィサック」に分けることができました。
ウルトラライトハイキングのシェルターとして、どれがよいか。
私が選んだのは、ずばり「テント」です。
重量のみで選ぶとしたら、「フロアレスシェルター」もしくは「タープ」になるでしょう。
しかし、何日間か歩くロングトレイルの場合、居住スペースの快適さがとても大切になってきます。
テントは他のシェルターを比較して、快適性が高いです。
また、悪天候での安心感でいえば、テントにかなうものはありません。
最近では軽量モデルも数多く出てきているので、その中からウルトラライトハイキングに最適なものを選んでいきたいと思います。
ウルトラライトハイキングのテントに求める条件
ウルトラライトハイキングに最適なテントに求める条件を書き出していきたいと思います。
条件は、以下の6つです。
△軽い
△広い
△耐風性が高い
△保温性が高い
△結露しにくい
△全室あり
軽い
ベースウェイト5kg以下を目指すのが元々の目的だったので、軽くなければいけません。
ステラリッジテント2型(旧型)の重量は、実測値で1604g(ペグ、ポール、張り綱、収納袋を含む)でした。
とりあえず「1200g以下」を条件とします。
広い
軽くなったとしても、内部空間が極端に狭くなり、快適性が落ちてしまうのは避けたいところ。
ステラリッジテント2型(旧型)の空間は、
短辺:130cm、長辺:210cm、全高:102cm、室内高:97cmです。
ステラリッジテント2型は2人用なので、1人で使えば広々と使うことができます。
「2人用で、できればステラリッジテント2型と同等の広さ」を条件とします。
耐風性が高い
耐風性を数字で表しているメーカは少なく、比較するのが難しい項目です。
ステラリッジテントのような山岳テントと呼ばれるものは、高山の稜線などの強い風が吹く環境でも耐えられるように作られています。テントの高さを低く抑えており、壁面を風が流れるドーム形状のものが多く、「自立式テント」に分類されます。
一方で、ポールを中から立ち上げペグダウンで固定するような「非自立式テント」はどうでしょうか。
登山用品の店員さんに聞くと、きちんとペグダウンすれば風に対しては強いと言われています、とのこと。
私の場合、アルプスの稜線などの風の強い状況でキャンプする機会はほとんどないため、「自立式」「非自立式」のどちらでもよいこととします。
保温性が高い
ハイキングにおいて体温の保持というのは、非常に重要です。
体温の低下は、生存に直結する問題になりうるからです。
仮に保温性が低いテントであっても、暖かい寝袋や服、温かい食事で体温を保つことはできます。
しかし、それらを用意していたら、結局装備が重くなってしまうので、軽量化の意味がなくなってしまいます。
よって、低い気温でも使えるように、メッシュ生地のものは除外し、原則フルパネルのものを選びます。
(ただし、暖かい気候でハイキングする場合は、メッシュ生地のものも今後検討してみたいです。)
結露しにくい
テント泊をしていると悩まされるのが「結露」。
結露は、暖かい空気と冷たい空気の境目で発生します。
真冬に窓ガラスの内側が濡れていることがありますが、これが結露です。
部屋の中の暖かい空気が窓ガラスに触れることにより冷やされ、部屋の空気中に含まれる水蒸気が水滴へと変化します。
これと同じことがテントでも起こっており、テント内部が結露するというわけです。
この結露を減らすには、2つの方法があります。
1つは換気を行って、テントの内外の空気の温度差をなくすことです。
温度差がなければ結露は発生しません。
この方法は効果的なのですが、寒い時期にやるのは難しいです。
もう1つは、温度変化を段階的にゆるめるということです。
簡単に言うと、ダブルフォールのテントを選択するということです。
シングルフォールだとテント内部にダイレクトに結露が発生します。
一方で、ダブルフォールだと、インナーテントとフライシートの間に空間のおかげで、温度変化がゆるやかになり、テント内部はそれほど結露しません。
よって、「ダブルフォールテント」を条件とします。
前室あり
前室があるかないかで、快適性は大きく変わってきます。
雨風がダイレクトにテント内に入り込むのを防いでくれるし、シューズなどの装備を置いておくこともできます。
また、前室があれば、雨が降っているときでも濡れることなく、調理が可能です。
「前室あり」を条件とします。
次回は、最終的に選んだテントの紹介
今回は、ウルトラライトハイキングにぴったりなテントの条件を書き出してみました。
次回は、候補となったテントと選定した過程を紹介したいと思います。
最終的にどのテントを選んだのか参考になればと思います。
※1:土屋智哉, 『ウルトラライトハイキング』, 株式会社山と溪谷社, 2017年, p.86-92.
※2:編集人 朝比奈耕太, 『PEAKS 2019年6月号 No.115』, 株式会社枻(えい)出版社, 2019年, p.21