ウルトラライト(UL)ハイキングを実践するために、今回は、「ザック」について見直していきたいと思います。
ウルトラライトハイキングでは、ベースウェイト5kg以下を目指します。
そのなかで、ザックは装備全体の重量の中で大きなウエイトを占めます。
私の場合は、当初のベースウェイトが11.2kg。
ザックは2610gあり、装備の中で最も重いアイテムでした。
このザックを軽量化することができれば、目標のベースウェイト5kg以下にぐっと近づくことができそうです。
一方で、ザックはハイキング中にずっと背負って行動を共にするものです。
背負いやすいさやパッキングのしやすさ、装備の取り出しやすさなどの「快適性」も妥協したくありません。
軽くて、かつ快適なザックを選んでいきたいと思います。
初めて買った「グレゴリー/バルトロ65」
初めて買ったザックは、「グレゴリー/バルトロ65」(旧型:2013年購入)です。
このザックは現在でも使い続けています。
2013年にテント泊を始めたいと思った私は、とりあえず登山用品店へ向かいました。
体力に絶大な自信のない私は、お店に着くなり店員さんに告げます。
「テント泊できるザックで、一番軽いやつください。」
ど素人の客がいきなり尖った発言をかましてきたので、少し戸惑った店員さんでしたが、懇切丁寧に教えてくれました。
- 重さの前に、まず身体の形にあったザックを選ぶこと。
- 軽さも重要だが、背負いやすさで快適さは大きく変わってくること。
- 軽いザックを選んでもいいのだが、そのためには装備全体を軽くしないと、ザックが重みに耐えられない可能性があること。
そして、色んなザックを背負わせてくれたのですが、その中の1つがバルトロ65。
少し重さはあるのですが、たしかに背負い心地はかなり良かったです。
「テント泊を始めるときのザックとして、バルトロを選ぶ方も多いですよ。」と言う店員さんの後押しで、購入に至りました。
「グレゴリー/バルトロ65」の特徴
バルトロ65(旧型)の特徴は以下の通りです
(参考:GREGORY BAG BASIC FUNCTIONS|グレゴリー(GREGORY)公式通販)。
- 重量:2610g(実測値)
- 背面の長さだけでなく、ショルダーハーネスとウエストベルトについても複数サイズが用意されている。
- ショルダーハーネス人間工学に基づき、独自の曲線を描いている。また、ショルダーハーネスとウエストベルトには、個人の体型に合わせて自動で角度調節がされるオートフィット機能がついており。体の動きに追従する。
- フロントパネルを大きく開閉する逆U字ジップが取り付けられており、道具の出し入れがスムーズ。ボトムにもジップがあり、アクセスを容易。
「グレゴリー/バルトロ65」の最大の特徴を挙げるとすれば、「背負いやすさ」と「ザック内のアクセスのしやすさ」でしょう。
「私たちが最も大切にするのは、ユーザーが背負った瞬間から「着る」ように完璧に身体にフィットするパックをつくることです。」
フィッティングの歴史|グレゴリー(GREGORY)公式通販
グレゴリーはザック作りの理念として、ザックは背負うのではなくて「着る」ものだという発想があります。
さすが、ザック界のロールスロイスと言われる所以ですね(誰が言い出したんだろ)。
その発想がザックによく反映されていて、実際に背負ってみると、その背負い心地に驚きます。
子供をおんぶしたときのように、ぴったり身体にくっつく感覚で、重さが肩や腰、背中にうまく分散されます。
また、ショルダーハーネスとウエストベルトは自動で角度調節できる機能がついているので、歩いていてもずれることなく、身体の動きに追従してくれます。
さらに、フロントパネルは大きなU字型のジッパが取り付けられているので、アクセスが容易で、ザック内のものを簡単に取り出せることができます。
細部までよく考えられたザックで、売れている理由もよく分かります。
私もテント泊始めたいという人がいたら自信を持って薦められる逸品です。
しかし、1つだけ問題が。
それは重さです。重量が実測値で2610gもあるのです。
ベースウェイト5kg以下を目指そうというのに、このザックだけですでに半分を超えていることになります。
このザックでは、ウルトラライトハイキングを目指すのは正直難しい。
ということで、より軽量なザックを検討することにしました。
テント泊できるウルトラライト(UL)ザックに求める条件
テント泊できるウルトラライトザックに求める条件を書き出していきたいと思います。
条件は、以下の5つです。
△容量は50L以上~60L以下
△フレームあり
△重さは1300g以下
△背負いごこちが良い
△使い勝手がよい
容量は50L以上~60L以下
一般的にテント泊に必要なザックの容量は、「60L」以上と言われることが多いかと思います。
十分な容量があれば、いざ荷物が増えたときに便利だし、適当にパッキングしても収まるので60L以上欲しいところです。
実際、現在使用しているバルトロ65は、65Lあります。
しかし、容量が大きければそれだけザックの重量は重くなってしまいます。
また、ウルトラライト装備は軽くてコンパクトなものが多いので、今より荷物はコンパクトになっていくはずです。
とはいえ、50Lを切るとさすがにきついかも…。
余計なものは持っていかないという誓いを込めて、「容量は50L以上~60L以下」とします。
フレームあり
多くのウルトラライトザックでは、フレームが省略されていることがほとんどです。
フレームレスにすることで荷物の重心をより身体に近づけ、歩行中の揺れを軽減できるというメリットがあります。
実際、私もフレームレスのザックで歩くこともあります。
軽くて荷物の揺れも少ない感じはしますが、一方で肩への負荷が大きいこと、荷物が背中にあたること、背中の汗が乾きにくいことが気になります。
ウルトラライトザック以外のザックには、多くの場合、背面部にフレームが入っています。
このフレームの役割はおよそ以下のようなものが挙げられるでしょう。
- ザックの形を保ち、パッキングしやすい。
- しっかりと荷重を支え、肩や背中、腰に荷重を分散させる。
- 背面の形が保たれるため、荷物が背中にあたりにくい。
- 背中とザックの間に空間をつくることが可能なため、背中の汗が乾きやすい。
フレームなしとフレームありを比較したとき、フレームありの方がメリットが大きいと感じました。
条件の1つとして「フレームあり」を挙げます。
重さは1300g以下
「ベースウェイト5kgのウルトラライトハイキングでは、バックパックは1kg以下でもこと足ります。自作やガレージメーカーのバックパックなら500gでも実現可能で、実用性も十分です。」
土屋智哉, 『ウルトラライトハイキング』, 株式会社山と溪谷社, 2017年, p.75.
ザックの重さについては、本来なら、上記の通り「1000g以下」とすべきでしょう。
しかし、「フレームあり」を条件の1つとしているので、その分を加味して少し条件を緩めようと思います。
バルトロ65の重さが2610g(実測値)なので、とりあえず半分の「1300g以下」を条件とします。
背負い心地がよい
背負い心地が良いザックとは、具体的にどういうものでしょうか。
評価ポイントを挙げてみました。
- 肩や背中、腰に荷重が分散されている。
- 荷物が背中にあたらない。
- 歩いているときに、ザックがずれない。
- 背中とザックの間に空間があり、背中の汗が乾きやすい。
背負い心地については、実際に背負ったときの感覚をたよりにするしかなさそうです。
使い勝手がよい
同じく、使い勝手のよさについて、評価ポイントを挙げてみました。
- パッキングしやすい。
- ザック内部へのアクセスが容易。
- ポケットが必要最低限は設置されていて、収納力がある。
ちょっと抽象的な書き方になってしまいましたが、これも実際に見て確かめるしかなさそうです。
続きは次回へ
今回は、テント泊できるウルトラライトザッグの条件を書き出してみました。
△容量は50L以上~60L以下
△フレームあり
△重さは1300g以
△背負い心地が良い
△使い勝手がよい
次回は、候補となったザックの選定した過程を紹介したいと思います。